なぜ、セはパに分が悪いのか。日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(44)が今季の交流戦閉幕を受け、圧倒的パ・リーグ優位の要因を分析した。セ・リーグチームがDH制の恩恵を受けきれなかった理由を考察した上で、「セ・リーグ球団の今秋のドラフト戦略に注目したい」と力説した。
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セ・リーグのチームは今年の交流戦でもパ・リーグに苦しめられました。最終的に65勝39敗4分けでパ・リーグ勢が圧勝。ちなみに昨年の交流戦でもパが63勝43敗2分けと圧倒していて、23年から4年連続でパ・リーグが勝ち越しています。なぜ毎年のようにここまで差がついてしまうのか。個人的には指名打者(DH)で輝く選手の不在がセ・リーグのチームを悩ませていたように感じます。
DH制を採用しているパのチームには、守備力には多少の難があるけれど打つだけであれば主軸を張れる、という選手が存在します。DH制が採用されないセの本拠地では元々DHで起用する選手を「代打の1番手」で待機させることが可能となり、むしろ戦力がアップしているような感覚にすら陥ります。
その点、セのチームは大変です。DH制がないセでは、いくら打力があっても守備力に難があると、なかなかレギュラーにはなれません。打力が飛び抜けているけれど守れない選手よりも、打力、守備力ともにそこそこの選手がスタメンとして重宝される傾向があります。ドラフトで獲得する選手も打力特化型ではなく走攻守バランス型が選ばれるケースが多く、いざDHの1枠を使えるとなっても、「打つだけならクリーンアップを任せられる」という選手が少ないのが現状です。
そうなると、セのチームは結局、レギュラーより打力が劣る控え選手の中で一番打ちそうな選手をDH起用するしかありません。序列的に9番目の野手を送り出す試合が多くなってしまうわけです。さらに言えば、いつもは「代打の1番手」として置いていた選手をスタメン起用するパターンが多くなり、試合終盤の代打が手薄になってしまいます。
パのチームはセの本拠地でそこまでスタメンの質を落とさず、代打の層を厚くできる。セのチームはパの本拠地でスタメンの質を上げきれないまま、代打の層を落とす。このような試合が増えた結果、パ・リーグ優位の交流戦が続いているのではないかと考えます。
とはいえ、この流れが今年でストップする可能性は十分あります。来年からはセ・リーグでもDH制が採用されます。今秋のドラフトではセの球団も一芸に秀でた選手を獲得する流れが出てくるのではないでしょうか。セのチームが打力に特化した選手を軒並み獲得すれば、来年の交流戦はまた違った雰囲気が出てくるだろうと予想します。
これまでのセ・リーグでは実際、打つだけの選手はなかなか使いづらかったはずです。走れない、打てない選手を試合終盤に代打で使った場合、代走、守備固めを含めて計3人をグラウンドに送り出さなければなりません。3人の手駒を失っても納得できるぐらいの打力がある選手はそう多くはいません。DH制がないリーグという特性上、選手を獲得する際には万能性を重視せざるを得なかったわけです。
それが来年からは「飛ばすだけならピカイチ」「足だけは速い」といった特殊能力の持ち主を輝かせられるタイミングが、少なくとも今よりは多くなります。今秋、セ・リーグ球団のドラフト戦略にどこまで変化が生まれるのか、興味深くチェックしていきたいところです。(日刊スポーツ評論家)
▼今季の交流戦はパ・リーグが65勝39敗4分けとセを圧倒。勝ち越し26は10年パが記録した勝ち越し22(81勝59敗4分け)を上回る新記録となった。特に優勝した西武は交流戦歴代最高の勝率8割2分4厘で、2位ソフトバンク、3位日本ハムも7割7分8厘。勝率7割以上のチームが複数出るのは交流戦史上初と、例年以上にパの強さが際だった。阪神はその上位3チームに0勝3敗と1勝もできず。勝率3割3分3厘は18年の3割5分3厘(6勝11敗1分け)を下回る球団ワースト記録となってしまった。







