野球のセオリーは本当か? 一般的に投手は、2球で2ストライクに追い込んでも、次の球はボール球を投げるケースが散見される。1球外すことに意味があるのか。3球勝負するべきなのか。プロ野球(NPB)やMLBのデータを徹底検証した。【特別取材班】

 

日刊スポーツ評論家の谷繁元信氏(49)が「カウント0-2」の思考を語る。

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せっかく追い込んでいるのに、なぜ1球外すのか。外さないで打たれると「まだまだボール球を投げられるのに、もったいない」と叱られる風潮が長くあり、今も根強く残っていることが理由として考えられる。

自分はレギュラーを取り始めてから、2ストライクで「無意味に」外すことはしなかった。ただし、いいバッターは追い込まれてからも3割、打つ。追い込んだ状況でやってはいけないことの順番を整理して、サインを選択していた。

(1)長打の可能性が高い

(2)ヒットの可能性が高い

(3)ファウルを打たせる

(4)振らせる

(5)見逃す

悪い結果から順序立てて攻め込んでいけば、配球に意味が出てくるし、打ち取る可能性も高くなる。

指導する際はバッテリーの言い分をしっかり聞くことに注意し「意味のあるボールにしなさい」と伝えてきた。確信があれば、3球勝負で三振を取りにいっていい。意表を突いて見逃し三振を取れたら、相手は次打席、次戦以降も迷い、大きな伏線として使える。落ち球にインコースと、一気に攻め幅が広がっていく。