新型コロナウイルスの影響により、仙台6大学野球の春季リーグ戦と全日本大学野球選手権が中止に追い込まれた。

18年の同選手権で優勝した東北福祉大(宮城)の大塚光二監督(52)も、経験のない困難に最善策を模索する。チームは6月6日現在も多くの部員が仙台に戻れず、活動を停止中。同監督は電話取材で悩める心境を語った。

球春を告げる春季リーグ開幕とともに、4年生は集大成のシーズンを過ごすはずだった。大塚監督は「大学4年生まで野球を続けてきた最上級生にとって、春のリーグは特別な大会。この大会で一区切りをつける選手もいる。残念だし、いたたまれない」と言葉に無念さをにじませた。

4月17日に「緊急事態宣言」が全国に拡大されたことを受け、部員133人を自宅に戻した。首都圏を中心に県外出身の選手が多く、今も自宅待機が続く。政府による緊急事態宣言は解除されても、県をまたぐ移動は19日まで自粛を求められている。大塚監督は「選手に『練習しろ』とかは言っていない。各都道府県の対応に従って、個人で考えながらやっていると思う」と信頼し、自主性に任せる。チーム練習再開に向けては、大学側と慎重に話し合いをしているが、具体的な日程は固まってない。

一方で「正式な大会じゃないかもしれないけど、何かお披露目できる舞台は作ってあげたい」とリーグ戦中止の代替案を模索する。「スポーツには目標や目的が必要。それがなくなるのは正直きつい。社会が大変な状況の中で、強引に『大会を開催しろ』とは思わないが、なんでもかんでも自粛や中止っていう考えはちょっと残念」と話した。「自粛」や「中止」の2文字だけで、指導者や選手の気持ちをくみ取ることはできない。【佐藤究】