プロ6年目のソフトバンク笠谷俊介投手(23)が先発としてはプロ初となる今季2勝目を挙げた。「オープナー」として期待されてきた左腕は、6度目の先発で自己最長の5回を投げ1失点。オリックスに今季13勝2敗で勝ち越しを決め、チームを今季3度目の5連勝に導いた。貯金は今季最多11に伸び、背後の2位ロッテを今季最大タイの2ゲーム差に突き放した。

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笠谷は初めて5回を投げきり、端正な顔をほころばせた。バッテリーを組んだ甲斐とグータッチをかわし笑顔。ベンチでは工藤監督からもねぎらいの言葉をかけられた。「初めて先発で勝てたのでとてもうれしいです」。自己最長の5回を投げ1失点の好投で、先発としてはプロ初となる2勝目をつかんだ。

最速150キロを超える直球を武器に、ストライク先行でグイグイ押していった。3回までは1人の走者も出さない完全投球。4回に1点を失ったが、5回で2安打無四球7奪三振と十分すぎる役割を果たした。「気持ちでは負けないぞという思いは常にある。あとは球に『行ってくれ』とお願いしました」と振り返った。

「オープナー」としての位置づけで起用されており、ここまでは前回登板の20日ロッテ戦で4回を投げたのが最長だったが「5回という意識はあまりなく、とにかく長い回を投げたかった」と、今季6度目にしてプロ6度目の先発で「5回の壁」を越えた。

後輩の存在が刺激になっている。すでに5勝を挙げている広島ドラフト1位の森下は大分商の1学年後輩だ。頻繁に連絡を取り合う仲で「負けられないですね。負けられないっす」と対抗心をメラメラに燃やしている。

先発ローテーションは流動的な状況だ。東浜が首の張りで出場選手登録を外れている。今週は武田、ムーアと故障明けの2人が復帰マウンドに上がる。

工藤監督は笠谷について「ああやって若い子たちが成長するのは、その上で投げている人たちにとってもいい刺激にもなると思う」と期待。笠谷自身も「将来的には先発として投げていかなくてはいけないと思っている。もっともっと高めていきたい」と力強く話した。若き左腕が「先発」としてローテーション入りする日もそう遠くなさそうだ。【山本大地】

 

◆笠谷俊介(かさや・しゅんすけ)1997年(平9)3月17日生まれ、大分県出身。大分商では2年夏に甲子園に出場も初戦敗退。14年ドラフト4位でソフトバンク入団。17年に1軍デビュー。173センチ、72キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸590万円。