チームに勝ちをもたらす投手とは。攻撃にリズムをもたらす投球とは。ヤクルトのドラフト2位ルーキー吉田大喜投手(23)の“修行”が続いている。

涼しい秋の風が吹く神宮で、■を汗が伝った。初回はわずか5球で2死を取った。しかし広島鈴木誠に9球粘られて四球を与え、出塁を許した。続く松山が右前打。捕逸で1点を先制された。

本人も自覚している課題は、立ち上がりとイニングの先頭打者。プロ12試合目を迎えたこの日も、両方で苦しんだ。2回以降は3イニング連続で先頭に出塁を許し、結果的に球数も増えていった。

来季以降も見据える高津臣吾監督は、5回2死二塁、5失点(自責4)の102球まで粘って交代を告げた。ベンチで悔しそうな表情を見せた本人は「調子自体は悪くはなかったが、少し慎重にいき過ぎて四球を出したりしてしまい、いいリズムに乗れなかった。3回の被本塁打も追い込んでからだったので、悔いが残ります。もう少し長いイニングを投げたかったです。申し訳ないです」と反省のコメントだった。

8月7日DeNA戦(神宮)でプロ初勝利を挙げて以降、8試合に先発し5連敗。先発投手が苦しいチーム事情も重なるが、ルーキーでただ1人先発ローテーションに入り毎週マウンドに立つのは、高津監督の期待と“親心”だ。「打たれることの恐怖心が先に立って、なかなか攻め切れていないと感じた。打たれる怖さというのが、先に立っているような気がする」と苦言を呈した。

1試合でも多く経験を積み、来年以降に生かしてほしいと願っている。だからこそ、失敗を恐れずに立ち向かってほしい。指揮官は「勉強中ではあるけれども、もっとカウントの取り方であったり、言うのは簡単だけど自信を持って、どんどん攻めていく。ルーキーらしく、どんどん打たれて勉強するというところがあってもいいのかなと思う。かわしてかわしてというのは、ちょっと今から、覚えなくてもいいと思う」と言う。

忍の起用には、同世代の息子を持つ高津監督の、吉田喜を必ず先発の柱に育て上げたいという思いが詰まっている。チームには石川、小川ら手本になる先輩がいる。今の悔しい思いが、きっと将来の勝利につながる。【保坂恭子】

■=順の川が峡の旧字体のツクリ