ホンダ(狭山市)の佐藤竜彦外野手(26=立大)が、セガサミー(東京都)戦で試合を決める満塁本塁打を放った。同点の延長10回タイブレーク2死満塁でバックスクリーンへ。来季ヤクルト2軍外野守備走塁コーチを務める佐藤真一氏(55)を父に持つ主砲が、チームを優勝した09年以来の決勝へ導いた。NTT東日本(東京都)は、大竹飛鳥投手(35=関東学院大)が7回2安打無失点と好投。日本新薬(京都市)に守り勝った。

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延長10回2死満塁、佐藤は直球をフルスイングした。1点を追う8回の好機で空振り三振に倒れていた。「今度こそは打ってやろうと打席に入りました」。バルセロナオリンピック(五輪)では銅メダルを獲得し、プロでは代打の切り札として活躍した父のように、一振りで決めた。昨年は社会人日本代表に選ばれ、アジア選手権で打点王とベストナイン。父の背中を追い、社会人屈指のスラッガーへ成長した。

スタンドに父らしい人物を見かけた。「今日は来てたと思います。フォルム的に父かなと」と話したが、実際はヤクルトのコーチ会議のため不在。いつも近くで背中を押してくれていると感じている。

その父はユニホームの採寸を終えてテレビに目をやると、息子の本塁打が飛び込んだ。「びっくりした。うれしい」。準決勝こそかけつけられなかったが、それまでの3戦はスタンドで観戦していた。自慢の息子の1発に「どうしても仕事上悪いところばかり見てしまう。でも、ああいう場面でなかなか打てない。すごいよと言いたいです」と喜びをかみしめた。

佐藤は今大会は打率4割4分4厘2本塁打、8打点と絶好調。「今まで通りチーム一丸で戦っていきます」。父もスタンドから見守るという決勝で、チーム11年ぶりの優勝を狙う。【湯本勝大】