ルートインBCリーグ・神奈川フューチャードリームスの“勝利の方程式”が、NPB入りへアピールを続けている。

日高拓海投手(22=武蔵大)と石井翔投手(23=エイジェック)の右腕2人は、ともに加入1年目。元横浜(現DeNA)の鈴木尚典監督(49)は「力のある投手だと判断して、期待をして2人に終盤を投げてもらっている。(逆転負け、サヨナラ負けは)チームとしては痛いけど、2人にはいい経験、勉強になる。それで一回り、二回り大きくなってくれれば、ありがたい」と飛躍を願う。

日高は、5月に入ってから安定感が一気に増した。開幕当初は「抑えないといけない」というプレッシャーに苦しんでいた。しかし乾真大投手兼任コーチ(32)から「上半身を立てるように」と助言を受けたことで、一気に直球のキレが増した。ここまで10試合に登板し防御率は3・86。「直球で、空振りが取れるようになりました。感覚が分かったことが、大きかった」と言う。

さらに、自己最速を152キロに更新。1球や1プレーで一喜一憂せず、冷静に淡々と振る舞うことで試合終盤の緊張感とも向き合えるようになった。シーズン途中に再加入した元巨人、西武の高木勇人投手(31)のアドバイスも受け、今は自信を持って腕を振る。「直球の精度と質を磨きたい。球速も、平均して出せるように。しっかり抑えることが(NPB入りへ)アピールになると思う」。大学では、4年間で公式戦の登板は数試合のみ。だからこそ「投げられていることがめちゃくちゃうれしくて、楽しいんです」という言葉に力がこもる。

今季11試合に登板している石井は、社会人のエイジェックから覚悟を持ってBC・神奈川入りした。「今年の秋、1年でNPBに行く」のが鈴木監督との誓いだ。富士大3年の冬に、スリークオーターからサイドへ転向。最速は、転向後に2キロアップし148キロになった。「サイドだから球速が出ない、ということはないと思う。自分の体に合った投げ方なので、球速が出るんだと思う」と話す。

NPBに行くため、今季は「150キロを出したい。調子の波を少なくして、三振を奪っていけたらいいかなと思う」と目標を掲げる。

野球の原点を再確認して迎えた、勝負の1年。地元の神奈川に戻ってきたことで「初心に帰ろうと思いました。少年野球の頃は、楽しんでプレーしていた。その原点に戻ってみようと思いました」。今は、どんな状況も楽しむ気持ちの余裕を持ってマウンドに上がる。

頼もしい若手投手2人が、神奈川の勝利を支える。