ヤクルト村上宗隆内野手(21)が、「望郷の1発」で新たな記録を打ち立てた。「日本生命セ・パ交流戦」のソフトバンク戦で、両リーグ最速20号に到達。21歳では1954年の中西太氏(西鉄)以来67年ぶり2人目の偉業を成し遂げた。チームを3連勝に導き、交流戦勝ち越しと、セ・リーグ2位タイ浮上へ貢献。18日の中日戦(神宮)からのリーグ戦再開へ向け、故郷九州で勢いをつけた。

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広いと感じた球場のフェンスを軽々と越えた。1点リードで迎えた4回無死一塁、村上は甘く入った128キロスライダーをフルスイング。高々と舞い上がった打球は、バックスクリーン右の中段へ突き刺さった。第1打席ではソフトバンク和田から空振り三振。「左投手だったので、開き気味でいこうかなと思ったが、いつも通りにいった方がいいかな」と修正。即結果へ結びつけた。

熊本出身の村上にとって、幼少時代に何度も足を運んだ球場。「広い球場だなと観客席で見て思っていた。まさかこうやって自分がここに立って、ホームランが打てるとは思っていなかった」と懐かしむ。夢を抱いた場所で特大の1発。球団でも、9年ぶりの両リーグ最速20号到達者となった。その9年前に記録を打ち立てたのは、相手ベンチに座るバレンティン。「19年に一緒に野球をしていろいろ学ばせてもらいました」。その兄貴分へ、新たな燕の主砲となった姿をバットで見せた。

8回の第4打席では、九州学院時代に熊本でしのぎを削った田浦(秀岳館出身)との同学年対決も実現。四球を選び「高校時代こてんぱんにやられていたので、いいイメージはなかなかなかったが、こうして対戦することができて楽しかった」と振り返る。3連戦の初戦では「九州の空気がおいしい」とご機嫌。故郷を思い出す3連戦となった。

45打点もリーグ2位タイ。それでも「まだ自分の中では物足りない」と2割8分4厘の打率に不満を持つ。打撃タイトル獲得と、東京五輪での活躍を目標に掲げた今季。6月に入って12試合で6本塁打と量産体制に入り、“両獲り”も現実味を帯びてきた。「また改めてリーグ戦が開催されるので、また1つ気持ちをリフレッシュして。新しい年じゃないですけどそれくらいの気持ちでまた1からはい上がっていきたい」。どんなに結果を残そうと、鍛錬は怠らない。【湯本勝大】

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