首位ロッテは、2軍もイースタン・リーグで貯金21(11日現在)と優勝へひた走る。福田光輝内野手(23)は、今季はまだ1軍出場がないが、2軍ではチーム2位の打席数を任され、打率は2割6分前後。開幕当初は4番を任されるも、不調でどん底を味わい、再び調子を戻してきた。シーズン終盤、1軍での貢献も目標にしながらバットを振る今の思いを、オンラインインタビューで聞いた。【取材・構成=金子真仁】

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開幕間際まで1軍に食らいつき、開幕を2軍で迎え、9月になった。

「プロ2年目に入って、まだ1軍に行けてないので、そこは悔しいというか何とも言えない気持ちもありますけど、2軍でしっかり守備とか打撃とか全部レベルアップして、常にやってやろうという気持ちは持っています」

力強い眼光は健在だ。大阪桐蔭から法大をへて、19年ドラフト5位で入団。右投げ左打ち。エリートコースを3番打者や1番打者として歩んだ。だから2軍開幕戦、いきなりの「4番三塁」には驚いた。

「(起用方針は)全然知らなかったですけど、4番なんか人生でもあまり打ったことがないので、なるべく気にしないようにしようとは思ってました」

DeNAとの開幕戦は犠飛1本での貢献だったが、そこから安打が増える。最初の17試合のうち7試合でマルチ安打し、打率は3割1分8厘。三振は77打席で9度のみ。強く大きく果敢に振った1年目からの、変化を見せ始めていた。

「キャンプとか自主トレで体を作って、そこでためていた力が4月とか5月にバーッと出た感じなのかなって思います」

「開幕から17試合」と期間を半端に絞って書いたが、実はこの時期、チームは破竹の14連勝。4番福田光輝の好調ぶりと、チームの好調さは、完全にリンクしていた。

だからこそ、記憶に残る打席がある。4月21日楽天戦の第1打席。

「その日も4番を打たせてもらってて。初回1死満塁で自分、ゲッツー打ってしまって。試合も負けて連勝ストップになったんですけど、連勝が続いてて、自分が調子良かったのもあって、いつも通りにいったんですけど…。その結果から少しずつ、チームはたぶん関係ないですけど、チームも自分も段々そこから落ちていったというか」

流れは恐ろしい。安打が止まり、その後4試合目でスタメンを外れ、その後は出たり出なかったり。5月末までの21試合で63打数6安打で、打率は0割9分5厘となった。

「ヒットも全然出ないし、練習でも何か変えたりって結構したんですけど、打席ではあまりいい当たりもなく…。結局、投手と勝負できてなかったので。自分の形とか、こうやって打ちたいとか、そういうのばっかり先行してしまって」

たまに長打もあったが、続かない。一塁ゴロや二塁ゴロ、凡フライが続く。強く振るタイプ。元々右方向へのゴロは多いが、2ストライク以降に引っかけてしまうことに悩みが続いた。

「ボールを追いかけすぎてて。体の疲れとかは気にしてなかったんですけど、知らない間に下半身が使えなくなって、上半身で打ってしまって打てない時期があったので」

下半身主導。安田も藤原も山口も口にする、ロッテ若手打者の1つのキーワードになりつつある。2軍首脳陣の教えを受けながら、1日1日焦らずに丹念に作り直してきた。

「本当にバッティングって難しくて、毎日考えて、何か継続してやろうとは思ってるんですけど、今日良くても明日は感覚が狂ってたりっていうのが結構あるんで。本当に1日1日しっかり切って、とにかく安打ばっかりそんなに欲しがらずに、まぁ、打ちたいですけど、まずは練習の中で自分の形を、頭を整理して、試合では投手としっかり対戦して結果を恐れずに振っていくっていうのは今、やれてはいます」

長いトンネルを経験し、多くを感じた。

「トンネルに入らない人がたぶん、1軍で3割とか打つと思うので。入らない方がいいですけど、入ったら入ったで何か考えて何か変えなきゃあかんなっていうのもありますし、正解はないんですけど、自分がしっかり1軍で成績を残せるようになるまでは、いろいろ考えて、苦しむことも多いのかなって思います。のちのち、自分の中でああいうことがあって良かったな、って思えるようにしたいです」

1軍で成績を残せるようになるまでは-。大局的に捉えながら、1日1日を大事に取り組む。

「他球団も含めて、いい打者の動画はよく見ます。最近は結果だけじゃなくて、この場面ならどういう感じで見逃したりするのかな、これって自分はできてるのかな、を比較して、みたいなのもやってます」

1年目のオープン戦でいきなり3本塁打して井口監督をうならせたハートの強さを存分に生かすべく、鍛錬を続けていく。

オンラインインタビューの翌日、9月10日の巨人戦(ロッテ浦和)、巨人戸田から2号ソロを放った。内角へ入ってくる変化球を、福田光輝らしく、弾丸ライナーで右翼の防球ネットにぶつけた。