背番号33が、帰ってきた。楽天銀次内野手(33)が9日、西武21回戦(メットライフドーム)で代打で約3カ月ぶりに1軍出場し、安打を放った。7月23日に新型コロナウイルス陽性反応を受け、約1カ月の療養を経て、8月中旬にファームへ合流。体調を慎重に見極めながら調整を進め、不屈の精神力で1軍の舞台に立った。チームは3連勝で2位ロッテとのゲーム差を1・5に縮めた。

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「代打、銀次」。久々のコールとともに、銀次が右翼席の楽天ファンから拍手で迎えられた。同点の8回2死一塁。努力で磨き上げた感覚は全く鈍っていなかった。「1球目から打ちにいく、というのをずっと忘れずにやってきているので、その通りに打ちました」。ギャレットの初球、外角140キロスプリットにバットを合わせた。右前に落とす技ありの“らしい”一打で、好機を演出した。

見えない敵に悩まされた。7月21日夜、38度1分の発熱、悪寒、頭痛症状を訴えた。翌22日にPCR検査を受検し23日に新型コロナウイルスの陽性判定を受けた。日頃から強靱(きょうじん)な体作りに励むアスリートであっても、苦しめられた。「1日でも早い復帰を目指していましたけれど、なかなか体力が戻らないし、体調も良くならないので、自分の中では戻れるのかなという気持ちがありました」。

自宅待機を経て、ファームへ合流できたのは8月中旬だった。体調の変化を慎重に見極めながら、日差しを浴び、1軍の戦力となる日を目指した。2軍戦出場を経て、10月5日に1軍昇格。「自分が思っていたよりも回復はしていたので、戻って来られたのは良かったなと思います」と体調、状態に問題は全くない。復帰後即の一打に「帰ってきたというよりは、今、始まったという感じですね」とリスタートをかみしめた。

今季は開幕1軍入りも、開幕2戦目の3月27日日本ハム戦で代打で投ゴロに倒れ、翌28日に右手首痛で登録を抹消。6月に復帰を果たしたが、コロナの猛威にも襲われた。度重なる困難も乗り越え続け、シーズンの最終盤に勢いづくチームの一員に加わった。「印象に残る一打を打ちたいです」。残り13試合で首位オリックスとは4・5ゲーム差。日差しでこんがりと焼けた肌をした杜(もり)の都のバットマンが、ここぞの場面で頼りになる。【桑原幹久】

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