オリックスが、宗佑磨外野手(25)の劇的な同点8号2ランで7年ぶりのAクラスを確定させた。0-2で迎えた8回2死一塁、ロッテ小島の初球ストレートを右中間3階席にぶつける同点アーチ。首位攻防3連戦の初戦を勝ちに等しい引き分けで終えた。13日の同戦に勝てば、7年ぶりの優勝マジック7が点灯する。

タオルで顔を拭った。殊勲の男は、ベンチで涙があふれた。宗が起死回生のアーチを描いた。0-2で迎えた8回2死一塁。ロッテ小島の初球ストレートをとらえると、打球は右中間スタンド3階席前のカベに直撃した。

「1、2打席目にチャンスで凡退していて、すごい悔しかった。2点負けてますから思い切っていくしかないと思って、腹決めていきました」

男泣きの同点8号2ランだ。7年ぶりのAクラスが確定し、同じく7年ぶりの優勝マジック点灯にも王手をかけた。

8回の打席に立つまで、宗は自分を責めていた。初回無死一塁、3回1死一、二塁で内野ゴロ併殺に倒れていた。4回、ロッテにレアードの先制26号ソロが飛び出し、劣勢の展開になった。「流れを渡してしまった」。情けなくて、顔を上げられなかった。

同い年の田嶋が、必死に投げていた。普段なら田嶋がピンチを背負うと、三塁から宗がマウンドに声かけに走る。だがこの日は懸命に腕を振り、ロッテの攻撃を2点で食い止める姿に励まされた。T-岡田の声にハッとした。「今日は、お前の日やで」。コーチの声も聞こえた。「1発で同点、逆転もある。あきらめずに行こう!」。導かれるように、劣勢をはね返す1発を飛ばした。「よく取り返したと思います」。中嶋監督も手をたたいた。

試合前。「優勝に向かってカツ」のメッセージ入りで、吉田正からチームにカツサンドが届いた。負傷離脱したメンバーも、心ひとつに戦っている。「残り少ない試合を全員で戦っていきたいなと思います」と宗。25年ぶりのリーグ制覇へ、まずはマジック点灯だ。【堀まどか】

◆パのM点灯日 オリックスとロッテが引き分けた結果、オリックスは今日13日の直接対決に勝てば7年ぶりの優勝マジックとなるM7が点灯する。引き分けの場合は持ち越し。ロッテは13、14日に●●ならM9が点灯する。