思いがつながった。負ければオリックスに優勝マジック点灯を許す2位ロッテが、8-2で勝った。前日12日、小島和哉投手(25)が8回に同点被弾し試合後に涙。背負い込む姿に打線が奮起した。3回には藤岡裕大内野手(28)の2点適時打など4連打で、オリックス山崎福をKO。先発全員安打をマークし、塁上でも新ポーズが続いた。14日にオリックスに勝つか引き分けで、2位ながら優勝マジックがロッテにともる。

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目の前での3連打に負けじと、藤岡は左翼へ2点適時打を放った。喜んでいたら、三塁の大塚ベースコーチの「ベンチ見ろ」のしぐさが見えて、やっと思い出した。右手を顔の高さに上げ、指を下に向け、時計回りにくーるくる。

「エチェバリアがやってるのでマネして。2週間くらい前から。浸透しだしたのは最近です。何か混ぜてるんですかね?」

ポーズの意味は分からず、名前もまだない。安打で出塁すると、皆このポーズをしている。調子を上げてきた藤岡はこの日初披露。「恥ずかしいっす」と照れ笑いしたが、打線がつながった証しでもある。24試合ぶりの2桁安打で先発全員安打。大事な試合で、ようやくつながった。

ポーズのことは笑いながら話した藤岡も、勝利のことはしんみり話した。あふれる言葉は熱かった。

「昨日、小島があれだけいいピッチングをしてくれて、勝てなくて。後輩にあれだけチームを背負わせて野手として情けなかった。ずっとここ最近小島に助けてもらって、野手が本当に打てなくて。今日は本当に、何っすかね、小島の気持ちを大事にしながら戦わないといけないなと思いながら挑みました」

思いを1つに。敵地大阪を埋めた1万690人の約半数がロッテのユニホームをまとっていた。「大事な一戦であれだけ球場に入ってくれて。ビジターなのに力になっています」と一体感を喜ぶ。思いをマジック点灯がかかる14日につなぐ。佐々木朗とオリックス宮城の同学年対決だ。「負けさせるわけにはいかないので。宮城もいい投手ですけど、攻略できないほどじゃないと思う。何とか今日のように、大きいの出なくても、みんなでつないで」。その先に光がある。【金子真仁】

 

▽ロッテ・レアード(初回に先制適時打)「当たりは良くなかったけど、気持ちで打ったヒットだね。チャンスだったからどんな当たりだってヒットになってくれればOKだよ」

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