昨季新人王のオリックス宮城大弥投手(20)が15日、大阪・舞洲で自主トレを公開した。オフに地元沖縄で成人式を済ませた宮城は、念願の自動車免許を取得。大阪で早くもドライブデビューを果たしたが、そこで「オトナ」の気付きがあった。

帰阪後の今月上旬。宮城は車を借りて1人ハンドルを握った。検索で「大阪 夜景」と打ち込み、関西屈指の人気スポットの生駒山に向かった。不慣れな運転で、カーブが連続する急勾配をおそるおそる上っていくと、眼下に宝石をちりばめたような大阪平野の絶景が広がっていた。

沖縄では見られない景色。プロ2年間も野球に没頭し、夜景鑑賞もしなかった20歳は「めちゃくちゃきれいでした。感動しました」。と同時に、寒さに震えながら思うことがあった。「みんな頑張っているのにな、と思いました。夜景って、言い方は悪いかもしれないけど、残業とか、人が残って(仕事して)いる景色なので…。申し訳なさもありながら、一応写真だけは撮りました」。

もちろん野球から離れてオフを満喫するのも大事なこと。昨年も十分すぎるほど働いた宮城が申し訳なく思う必要はないが、それも大人の証しか。夜まで働く人たちに思いをはせ、気を引き締め直した。

課題ははっきりしている。不振が長引いた後半は次の登板までマイナス思考になった。「もったいないというか、いいとらえ方ができなかった。(登板の)少し前から切り替えられたらと思っている。調子の関係なしに中6日でずっと回っていきたい」。メンタル面の安定を課題とした。

目指すタイトルは「防御率」を挙げた。ライバルは昨季タイトルを独占した山本由伸(23)になる。「先輩がいるので、その人から1つ取りたい。できたら、いろいろなタイトルをとって(山本に)モノを言えるようになりたい。ちょっと言いたいことがあるので。あの人、結構バチバチに来たそうな顔しているので。こういう(宮城の)記事とか見たら。自分もシーズンが始まってから乗っかかりにいきます」と、先輩から“マウントポジション”をとりにいくことも宣言した。

2年連続の活躍へ、体調面は良好だ。年末年始も走り込みを続けてきた。ドライブというリフレッシュ方法が加わったのはプラス要素になる。「相方のクレがいないので寂しい。1人での運転は怖いです」。同期の紅林を伴っての運転が、課題の切り替えにも役立ちそう。大人になった宮城は今年も大阪の光になる。【柏原誠】