Aクラスは譲らん! 阪神伊藤将司投手(26)が1失点完投で甲子園10連勝を飾った。80年小林繁以来、球団史上5人目の快挙だ。ヤクルト村上を3打数無安打に抑え、7回には左中間への2点二塁打で自らを援護。打球が直撃するアクシデントもあったが、12球団最多となる今季6度目の完投勝利。タフな左腕がチームの連敗を「3」で止めた。

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ラスト1球、低めにあらん限りの144キロ直球を押し込んだ。伊藤将はマウンド上で勝利を見届け、左拳を腰付近で小刻みに動かしガッツポーズ。9回5安打無四球1失点、111球の熱投で両リーグ単独トップの6完投。8月3日の巨人戦以来約1カ月ぶりの勝ち星となる9勝目を飾り、球団では80年の小林繁以来42年ぶり5人目、左腕では虎史上初の甲子園10連勝だ。

「梅さん(梅野)のリードを信じて投げた結果、こうやって完封…、完投することができました(笑い)」

雪辱を果たした。5回まで二塁を踏ませず、6回は守備のミスもあった中で最少失点でしのいだ。7回は先頭山田の打球が右内もも付近に直撃し、もん絶。マウンド上でうずくまったがすぐに復活し、続く村上の内角を突いて二ゴロ併殺に退けた。「今日はやり返す気持ちで投げました」。8月17日に1発を浴びた村上から内角カーブで見逃し三振を奪うなど3打席を完璧に封じ、リベンジを決めた。

シーズン中に着手した投球フォームの微調整が実を結んだ。今季の6月中旬頃から、意識的に左腕をトップの位置まで持っていくスピードを速めたという。「球が抜けてる時は(腕を振るタイミングが)遅れてるんですけど、それをなるべく速く(トップに)くるように。『これだ!』っていう感じ」と手応えをつかんだ。カーブの精度も向上するなど相乗効果が生まれ、引き出しを増やした。

矢野監督の助言も生かした。自身3連敗中に迎えた前回8月31日の広島戦(甲子園)では菊池涼に3ランを浴びるなど5失点。翌1日の練習中、指揮官が左腕に歩み寄った。「菊池さんに対しての配球だったり、ポイントになったところを言ってくださった」。昨季も苦戦した夏場には「真っすぐがいいんだから、どんどんいけ」と背中を押され、救われたという。「すごくいいタイミングで声をかけてくださいます」。快投につなげ、連敗ストップという形で恩を返した。

「9番打者」としては7回2死一、二塁から左中間を破る今季3本目のタイムリーとなるダメ押しの2点適時二塁打を放ち、セルフ援護。投打で奮闘し、2年連続の2桁勝利へ王手をかけた。地の利を生かし、今後も聖地で勝ち星を量産していく。【古財稜明】

▼伊藤将が、21年9月1日中日戦から続く甲子園での連勝を10に伸ばした。阪神の投手が甲子園で10連勝以上は、79年から80年にかけて10連勝した小林繁以来、42年ぶり。延べ6人目で、左腕投手では初めて。最長は14連勝で、御園生崇男が36年から38年にかけて記録した。

▼伊藤将はこれで両リーグトップの6完投目。球団では、15年藤浪晋太郎の7完投以来。

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