2部1位の室蘭工大が1部6位の帯広畜産大に10-2でコールド勝ちし、通算2勝として91年以来32年ぶりとなる来季1部昇格を決めた。08年以来14年ぶりの2部優勝で今大会に臨んだチームは、大野柚太主将(3年=札幌大谷)を中心に結束。夏に伸ばした長所の攻撃力が2試合計27安打と爆発し、昇格をつかんだ。来年の春季リーグは強打線を武器に1部残留を目指す。

連勝で一気に1部昇格を決めた。この日、大野主将の代わりにマスクをかぶった佐藤碧海(2年=千葉黎明)が初回、内角へのナックルを振り抜き、先制2ラン本塁打を放った。右越えの豪快な1発は公式戦初アーチ。「練習試合では打ったことはあるけど、公式戦のホームランは気持ちよかった」と振り返った。この1発が呼び水となり打線は計15安打と爆発した。

秋のリーグ戦に向けて武器だった打撃力をさらに強化するため、練習時間の半分程度だった打撃練習を7割以上にしスイング量を増加させた。大野主将は「夏場の練習の成果が出た。勝ってくれたメンバーには感謝しかない」と感慨深げに語った。

監督不在のチームだが、入れ替え戦2試合は主将が陣頭指揮を執った。大野は9月20日に右耳中耳炎の手術を受け、退院翌々日の30日にチームに合流し、同日愛別入りした。正捕手を務めてきただけに試合に出場できないもどかしさを感じていたが、裏方の仕事に徹し、勝利に貢献した。

1日の1戦目では、先発したエース佐藤悠津樹(4年=北広島)が3回までに2失点。直球が走っていないことに気付き、3回の攻撃時にブルペンに入ることを指示した。この調整で復調した佐藤悠は4回から最終7回までを3者凡退に抑えた。大野は「4回からは球威が増していたので、ブルペンに入ってもらってよかった」と語った。

選手18人中10人の2年生が、来季は主体となる予定だ。中心選手の一角を担う佐藤碧は「1部は格上ばかりだけど、泥くさい野球を貫いて、最低限残留を目指して戦いたい」。秋は唯一の4年生としてチームをけん引した佐藤悠は「私立大にも勝てるチームに成長するために冬の間、練習に励んでほしい」と後輩たちにエールを送った。【石井翔太】