西武に移籍した張奕投手(28)が29日、埼玉・所沢の球団施設で汗を流した。

70メートルの遠投をこなすと、ブルペンでは中腰の藤沢ブルペン捕手を相手に25球。「キャンプもそろそろ。ちょっと気持ちが入ってきたので。ここからどうなるんだろうという想像で、楽しいです」と白い歯を見せた。

FA移籍した森の人的補償選手として、オリックスから加入した。関西での自主トレを終え、23日に所沢へ。すでに「5~6回は投げています」と傾斜での投球も進めている。WBC台湾代表に選ばれているが、WBC球は「ボールは持ってるんですけど、まだキャッチボールはしてないです」という段階だ。

「オリックスには本当に感謝しているんですけど、すごい投手も多くて、なかなかチャンスがなかったっていうか…。そこは悔しい部分があって。物足りないところはあったなと自分でも思っています」

言葉を選びながら歩みを振り返る。すごい投手と表現したうちの1人、WBC日本代表にも選ばれた山本由伸投手(24)はオリックスでの同期入団にあたる。「次元が違います。見ての通り、全球種が一級品。誰もが認める投手です」。やまもとよしのぶ。なぜか張は山本を“のぶし”と呼んでいるそうだ。「(野武士で)戦国時代みたいな感じで」と笑いながら「負けたくない部分も自分の中にあります」と言い切る。

母国のために投げ抜けば、いよいよ新天地での戦いが始まる。ペナント開幕戦は古巣オリックスが相手。「そうっす。僕も確認したんで」と笑いつつ「そこはちゃんと1軍メンバーに入れるような準備をしないといけないので」と1つの目標に定める。その上での、最大の目標は。「試合、たくさん出たいですね」。

胸の内に秘めていた声を明瞭に出した張奕の近くに、外崎が歩み寄った。副キャプテンは「がんばろう!」とはっきり目を見てグータッチした。【金子真仁】

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