巨人の小さな“夏男(なつお)”が大きな1発を決めた。
浅野翔吾外野手(19)が3回にヤクルト先発のサイスニードから先制の3号2ランを放った。1軍最年少が優勝争いの真っただ中の8月は打率3割5分7厘、3本塁打、11打点、OPS1・101と大奮闘。チームも1点差の接戦を勝ちきっての4連勝で、首位広島をゲーム差なしでぴったり追走する。
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浅野がバットを天高く突き上げた。打球の行方を追わずとも確信した。「打った瞬間いったかなと思いました。完璧でした」。3回2死三塁、ヤクルト・サイスニードの落ちきらなかったスプリットを捉えた。滞空時間、飛距離ともに十二分の1発。「昨日、丸さんが目の前で敬遠されて悔しかった。今日は何とかチャンスをものにしたいっていう気持ちだったので、最高の結果になったかなと」と前夜の借りを返した。
左翼席からとどろく応援歌の歌詞のごとく、熱く強く、歓喜の渦を巻き起こす。浅野! 浅野! 浅野! 浅野!の大合唱でスタンドは大盛り上がり。高松商時代の一昨年の夏は甲子園を沸かせ、プロ2年目の今夏も大活躍を続ける。夏が来るたびに成長する“夏男”は松田宣浩氏から熱男の後継者に指名されていた。優勝争いを繰り広げる8月の存在感はチーム内でも際立っている。
1軍唯一のティーンエージャーは後輩としての行動も秀逸さが光る。試合後は当たり前のようにベンチのゴミを集める。小さなおっさんキャラが定着しつつも「上下関係はありますけど、試合になったら関係ないと思うので、そこはあんまり考えずにという感じです」と愛らしさと、強さを兼ね備える。
さらにペナントレースが最終盤に進む9月は“秋男(あきお)”になるのか。「年齢が一番下なので、いつ(2軍に)落とされてもおかしくない状況だと思う。落とされないように優勝のために頑張ってます」と危機感は常にある。前夜に左腕に受けたプロ初死球の痛みは「絶対に(試合に)出るつもりでいた。大丈夫っす」と封じ込めた。阿部監督も「大きな先制のホームランだったなと思います。ホームランは大きいからね」とたたえた。
熱男から夏男、さらに秋男として打ち続ければ、優勝が近づく。まだまだ伸び盛りの浅野がてっぺんを取ったときには、歓喜の“優男(やさお)”になる。【為田聡史】
▼浅野が先制の3号2ラン。今季1号が8月14日阪神戦の先制満塁、2号が同24日中日戦の先制ソロと、今季の3本はすべて先制アーチだ。これで8月に1軍再昇格してからの浅野は12試合に出場して11打点。先制本塁打3本のほかに21日広島戦で同点打、22日広島戦で先制打を放っており、肩書付きの殊勲安打が5本。8月の巨人では打点が岡本和の10打点、殊勲安打も坂本の4本を上回り最多と、19歳の浅野がチームを引っ張っている。
▽巨人阿部監督(先制2ランの浅野に)「大きな先制のホームランだったなと思います。ホームランは大きいからね。(6回の勝ち越しは)もぎ取った感じだった」
▽巨人吉川(6回1死二、三塁で勝ち越し犠飛)「最低限の仕事はできたかなと思います。勝ち越せてよかった」



