日没前の上空から大歓声を引き連れて白球が降ってきた。球場の外周でオレンジのタオルを首からかけた巨人ファンの50代男性は「おー、来た、来たって感じ」と予期せぬ“お宝”に飛びついた。4年ぶりの金沢でのプロ野球開催。「完売でチケットが買えなくて…。音だけでも聞こうと思って球場まで来た。来て、良かったです。大事にします」とNPB通算11万号の記念球をにぎりしめた。
両翼91・5メートル。石川県立球場は本塁からバックスクリーン方向への追い風だった。同点の1回2死、巨人トレイ・キャベッジ外野手(28)の打棒がうなった。カウント2-1からの4球目。広島大瀬良の高めのカットボールを強振。完璧に捉えた打球は薄暮の空に消えた。推定飛距離120メートルの7号場外ソロがメモリアル弾となり「日本球史に名を残せたことはうれしい。これから自慢したい」と喜んだ。
この日、石川県は特別な雰囲気に包まれていた。第75代横綱への昇進が決定した大の里の故郷は試合前からお祝いムードに沸き「最近は春場所をよく見てたんでリサーチしてみます。(横綱昇進が大ニュースということは)分かっています」と大相撲にも興味津々。球団OBでのメジャーリーグでも活躍した松井秀喜氏の故郷でもあり「松井さんの地元ということは野球と深い縁があるんじゃないかなと思います」と、初めて訪れた北陸シリーズを連夜の活躍で締めくくった。【為田聡史】
▽巨人阿部監督(キャベッジのNPB通算11万号に)「すごくいいホームランだったし、(ホームランボールを)捕った方も素晴らしい記念になるんじゃないですか」
▼キャベッジの7号がプロ野球通算11万本目の本塁打となった。プロ野球1号は36年5月4日に藤井勇(タイガース)がセネタース戦で野口明から記録したランニング本塁打。5000本ごとの節目の1発が地方球場で飛び出したのは初めてだ。28日終了時の通算本塁打は11万1本で、内訳は1リーグ時代に2653本、セ・リーグで5万4023本、パ・リーグで5万3325本。



