猛虎に新たなラッキーボーイ誕生!? 阪神高卒3年目の井坪陽生外野手(20)が泥臭い激走で貴重な1勝を呼び込んだ。中日戦(京セラドーム大阪)でプロ初昇格初スタメン。まずは同点に追いついた直後の2回1死一、二塁、プロ初打席で完全に打ち取られながら三塁前に内野安打を転がした。この一打が悪送球を誘い、一気に走者2人が生還した。再び同点で迎えた6回は三ゴロ失策で出塁し、適時打2本の勝ち越し劇をお膳立て。チームは3連勝でマジックを21に減らした。
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ベンチに戻る井坪の目線が、中堅方向に動いた。ビジョンにともった「H」のランプが目に入ったか、照れくさそうに白い歯を見せた。
「中途半端なスイングになったんですけど、結果的にHランプがついたので、まず一安心かなと」
プロ初昇格初スタメン初打席で初安打。“持っている若虎”はチームに2度の幸運と勝利をもたらし、うれしそうにほほ笑んだ。
「8番中堅」で先発。同点とした直後の2回1死一、二塁、プロ初打席は気合がやや空回りした。気持ちがはやったか、初球の136キロチェンジアップにバットを止めきれず力ないスイング。完全に打ち取られたゴロは三塁線を緩やかに転がり、内野安打に姿を変えた。この一打が中日チェイビスの悪送球を誘い、一気に走者2人が生還した。
ラッキーは続く。再び同点で迎えた6回2死二塁では、平凡な三ゴロを今度はチェイビスがファンブル。失策出塁で一、三塁にチャンスを広げ、決勝打を含む適時打2本につなげた。
「藤川チルドレン」と呼ばれる存在だ。昨秋キャンプでは就任直後の新指揮官から「チームの今後に非常に大事な存在」と期待をかけられた。春季キャンプでは主力が集まる宜野座組に抜てきされた。だが、開幕1軍を逃すと、前川に高寺、中川ら若手勢に次々に先を越された。それでも地道に2軍で結果を積み重ね、満を持してチャンスに応えてみせた。
藤川監督は今回、守備面を買って起用したという。「近本の代わりでセンターを今守れる選手、本職の選手は井坪になりますから」。初安打の直後にはベンチで「とりあえずおめでとう。良かったね」と祝福。「打撃はあんまり気にしていないです」と振り返ったが、予想以上の活躍に指揮官の表情も自然とほころぶ。
チームは2位巨人との今季最大13ゲーム差をキープし、優勝マジックを1つ減らして21とした。セ・リーグで唯一負け越していた中日との対戦成績も8勝8敗の五分まで回復させた。立役者の井坪も充実感たっぷりだ。
「バッティングに関しては一から上で取り組んでやっていきたいと思っています。その他は下でやってきたことを出せそうな感じはあります」
鼻息荒い新ラッキーボーイ。首位独走中の猛虎にまた1人、生きのいい戦力が加わった。【塚本光】
◆井坪陽生(いつぼ・ひなせ)2005年(平17)3月17日生まれ、東京都出身。関東第一から22年ドラフト3位で阪神入り。昨季は2軍戦で105試合に出場。今季も73試合に出場し、打率2割6分1厘、2本塁打、18打点。177センチ、83キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸600万円。



