西武は16日、初の交流戦優勝をかけ、ナイターで阪神戦(甲子園)を戦う。

先発マウンドには武内夏暉投手(24)が上がる。人生初の甲子園。「ワクワクしかないです」と胸躍らせる。もともと西武は甲子園と縁遠くはない。

西口監督は和歌山出身で、甲子園のある兵庫県は栗山、甲斐野、岸らの地元。中村剛、桑原、西川らは大阪府出身で、炭谷や長谷川、森脇は京都府出身。明徳義塾出身の岸、仙台育英出身の平沢、今治西出身の熊代コーチなど“甲子園のスター”の存在も頼もしい。

西武グループ企業の近江鉄道のある滋賀県は、レオマークのバスが当たり前のように街を走る。近年、滋賀は西武との縁も深まった。甲子園のスター選手であった山田の入団、活躍。そして大人気小説「成瀬は天下を取りにいく」(宮島未奈氏、新潮社)は、滋賀・大津市の膳所が舞台だ。

主人公の成瀬あかりが、西武百貨店の閉店に際し「この夏を西武に捧げようと思う」と連日、西武のユニホームを身にまとって百貨店に通い詰めるストーリーは、今回舞台が決定し、成瀬役を演じる俳優山下美月が、10日の広島戦(ベルーナドーム)でセレモニアルピッチを行った。

作品内では「レイクフロント大津におの浜メモリアルプレミアレジデンス」という西武百貨店跡地のマンション前の公園では、15日夕方に小学生が空に向かってボールを投げていた。膳所高は甲子園出場経験もあり、野球好きの多い街でもある。JR膳所駅には成瀬のイラストが大きく描かれ、西武ユニホームのポスターも貼られ、日常を彩る。

そんな割と縁深い関西の地で、2年前のどん底からはい上がってのタイトルなるか。甲子園の左翼ビジター応援席は今回も1ブロックのみの販売ながら、関係者によると販売開始後に即完売。わずか1試合にもかかわらず、関東からも多くの獅子党が押し寄せる。

3日、4日の阪神戦では甲子園の大観衆4万2000人超に対し、わずか380人のファンが隣駅まで声を届かせるほど大声で盛り上げ、話題になった。担当記者のX上のポストに対して「まるで桶狭間の戦いで今川軍と戦った、少数の織田信長軍のよう」との反応もあった。だから勝負の一戦も決してアウェーではない。

西武が天下を取りにいく。【金子真仁】