NPBは1日、記録の訂正を発表した。6月27日の広島-阪神9回戦(マツダスタジアム)の4回1死一、三塁で阪神髙寺望夢内野手(23)が放った打球を「一塁野選」から「投手内野安打」に訂正した。

阪神球団はNPB関係者と複数回、コミュニケーションをとっていた。映像を見せながらのアピールや、判断の根拠を求めた。なかなか色よい反応はなかったようだが、最終的には記録訂正で落ち着いた。NPBも時間をかけて、冷静に対応したようだ。

高寺の打球は強めの勢いで投手を強襲。投手がさばけず、方向が変わった打球を一塁手が前に出て捕球。急いで本塁に投げたが間に合わなかった。一塁ベース上は無人。仮に一塁手がすぐ一塁に走っても打者走者はセーフだったとみられる。

ただ、一塁手が本塁でも一塁でもなく「二塁」に送球していたら、間に合っていたかもしれない。一塁走者が封殺なら高寺の記録は内野ゴロになる。一塁手の選択によって記録は変わる。

野球の記録は一筋縄ではいかない。豊かな知見と、総合的な判断が求められ、公式記録員の「主観」に委ねられることも多い。瞬時に正確な判断を下すのは、どんなベテラン記録員でも至難の業だ。

たとえば三遊間に鋭い打球が飛ぶ。脚力が自慢の遊撃手がぎりぎりで追いついた。一塁はアウトにできるタイミング。だが、体勢を立て直して投げた送球はワンバウンドになり、一塁手がこぼした。

この場合、遊撃手か一塁手に失策がつくこともあるように思う。「普通の送球ならアウトだった」からだ。打球に追いついた時点でファインプレーである。体勢を立て直せたのも優れたボディーバランスがあったから。並の野手なら無条件で安打になっていたところを、一塁で勝負できるタイミングまでもっていったのは遊撃手の力量。打者側も、安打コースに打球を放ったという事実がある。

緩い当たりや、高いバウンド、イレギュラーバウンドの際の失策か安打かの判断は難しいとされる。たびたび記録を巡って、当該球団が問い合わせている。

NPBは段階的にリプレー検証やリプレーセンター設置など、複数人で正確なジャッジを下す態勢を整えてきた。公式記録においても、より多くの人が納得できる結論が理想だと思う。一投一打に人生がかる選手もいる。時間をかけてでも、グラウンドの実情を反映した結論を導いてほしい。【阪神担当=柏原誠】