中日カイル・マラー投手(28)は首位阪神を相手に4安打完封、打っては4打数2安打4打点と、投打に渡る離れ業で2連勝に導いた。チームは2戦連続の0封勝ちを果たした。
左腕は2点リードの5回、甲子園で今季2本目となるバックスクリーンへの2号2ラン。投手が甲子園で年間複数アーチを記録するのは1981年(昭56)阪神山本和行以来45年ぶりで、92年以降のラッキーゾーン撤廃後は史上初だ。
ただ、ファンをしびれさせたのはこの1本だけじゃなかった。
2ランを放った後の4点リードの9回2死二、三塁で阪神ドリスと真剣勝負を展開。フルカウントから、7球目をフェンス直撃の左越え適時二塁打を放った。この見事な当たりに試合中継局の関係者は「うちの関係者が何も言えなかった」と言わせたほど。
マラーは試合後、こう振り返った。「最初は(ボールが3球続いて)振らずに立っていたら四球かなと思っていたんですけど、結局(カウントは)スリーツーに。高めの打てる球を待っていました」。真ん中高めの141キロは会心の当たりになった。
左投げ右打ち登録。マラーは少年時代、野球未経験で右利きの父に右打席に立って教えを乞うた。
普段は温かいまなざしでナインに接するが、打席に立てば目の色を変え、フルスイングがモットー。打てば塁上で人さし指を立てて喜ぶ。過去には、こんな心理状況を明かしていた。「いいピッチングをして、次の打席に立てばいい形で入れる。逆もしかりで打席でいいヒットを打てたら、マウンドに向かう時もいい気持ちで迎えられる。お互い相互関係がある」。
井上一樹監督(55)も「期待して8番に」と明かす信頼っぷり。マラーはいわゆる「自動アウト」という表現を例に、打席でのプライドを示す。「(仮に)9番のピッチャーは簡単にアウトになるとは思っていなくて。どうやって1番に返して塁に出るかを常に思っています」。
歴史的なゲームの背景に、これまで思い描いていたマラーの理想が結実した。



