米経済紙フォーブスがこの1年間のアスリート長者番付を発表した。1位はテニスのフェデラーで1億630万ドル(約117億円)だった。2~4位はロナウド、メッシ、ネイマールのサッカー・トリオで、残るベスト10はNBA、NFL、ゴルフの選手が続いた。ボクサーの1位はWBC王者タイソン・フューリー(英国)で、5700万ドル(約63億円)で11位だった。

15年にクリチコから3冠王座獲得も、引退、コカイン、ドーピング違反などの騒動を起こした。18年に再起し、2戦目にWBC王者デオンテイ・ワイルダー(米国)と引き分け。これで再浮上し、今年2月にワイルダーとの再戦に快勝で王座に返り咲いた。

5000万ドルを試合で稼いだ。ワイルダー戦以外は、昨年9月に100万ドルの再起戦と小遣い稼ぎ? のプロレスデビュー戦だけ。ワイルダー戦のファイトマネーは500万ドルで、2500万ドルが最低保障だったペイ・パー・ビューの売り上げが効いたようだ。

1度は天から地に落ちたが、昨年2月にトップランクと契約した。これをステップに身も心も入れ替え、王座奪回とともに、莫大(ばくだい)な報酬を得て、頂点に立った。

ベスト100に入ったボクサーはあと3人いた。ヘビー級3冠王者アンソニー・ジョシュア(英国)が4700万ドル(約52億円)で19位、ワイルダーが4650万ドル(約51億円)で20位に入った。

昨年9400万ドル(約103億円)で4位だったサウル・アルバレス(メキシコ)は3700万ドル(約40億円)で30位に入った。昨年100位以内のパッキャオとゴロフキンは圏外になった。

この長者番付は90年からで、マイク・タイソンが2860万ドルで1位だった。2位ジェームズ・ダグラス、3位シュガー・レイ・レナードとボクサーがトップ3。91年はイベンダー・ホリーフィールドにタイソンがワンツー。92年はホリーフィールド、93年はリディック・ボウが2位、96年にタイソンが1位に復活した。

その後はNBAのジョーダン、ゴルフのウッズらが長年トップに君臨した。ボクサーが復活したのは12年で、フロイド・メイウェザー・ジュニアが初の1位に。14、15、18年と4度トップとなった。パッキャオが3位に2度入っている。

ヘビー級が3位以内は00年の3位タイソン以来いない。ベスト10に入れなかったが、ボクシングの象徴と言えるヘビー級がトップ3。中量級スターの前に影が薄かったが、ようやく活況の兆しを示す数字と言える。フューリーとワイルダーの第3戦、その後にはジョジュアの決着戦も期待されるのに。ウイルスが憎い。

今回の100位は男子テニス選手で約24億円だった。日本選手では大坂が約41億円で29位、錦織が約35億円で40位に入った。テニスは賞金よりも破格なスポンサー収入が大きい。今後期待されるのはNBAの八村か。ひそかな願いがある。井上尚弥がいつかランクインする日がくることを。【河合香】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

井上尚弥(2019年10月28日撮影)
井上尚弥(2019年10月28日撮影)