リングにかける男たち

閉館した横浜文化体育館 数々の名勝負が思い出深い

ボクシング世界戦も徐々に開催されている。相次いで日本人世界王者2人の防衛戦も発表された。井上尚弥(大橋)は10月31日に米ラスベガス、京口紘人(ワタナベ)は11月3日に大阪で臨む。

横浜文化体育館でTKO勝利を収めた井上尚弥(2017年12月30日)
横浜文化体育館でTKO勝利を収めた井上尚弥(2017年12月30日)

今年国内での世界戦は1試合も開催されていない。3月にタイで1試合、女子を含めても国内では日本人対決1試合だけだった。井上は再開後、日本人最初の世界戦、京口は国内最初の世界戦となる。

京口は2試合連続の凱旋(がいせん)でもある。会場は大阪市住之江区にある国際展示場インテックス大阪。4000席を設営も観客動員は2000人にとどめるという。ボクシング開催は初で、国内では113番目の会場になる。

日本で初開催したのは後楽園球場だった。52年の白井義男で、世界戦7試合すべてがここ。戦後復興のシンボルとして熱狂の渦となった。合計で9試合開催されたが、その後は蔵前国技館などが増え、人気の上昇から各地で開催されるようになった。

最も多いのが76試合の大阪府立体育館。ボディメーカーコロシアムをへて、今はエディオンアリーナ大阪となった。大相撲春場所など関西でのスポーツの拠点であり、ダブルやトリプル開催も多かった。

59試合の聖地と言われる後楽園ホール、44試合の両国国技館、40試合の大田区総合体育館、35試合の有明コロシアムと続く。

13試合で13番目も、思い出深いのが横浜文化体育館だ。62年に開館したが、9月6日に閉館となった。JR根岸線関内駅近くで、収容人員は約5000人と手頃な大きさだった。

最初の世界戦は74年で、現在は日本プロボクシング協会会長の花形進が5度目の挑戦で王座奪取した。大場政夫に挑戦は日大講堂も、他の3度挑戦はいずれも敵地海外だった。チャチャイ・チオノイ(タイ)に再挑戦で6回KO勝ち。生まれた地で、ジムもあった地元横浜での悲願に喜びも爆発した。

新王者誕生は2人だけ。アンタッチャブルと呼ばれた川島郭志は担当だった。94年に初挑戦で奪取した。11回にダウンを奪っての快勝に会場が歓喜に包まれた。V2、V3戦もここ。安定王者となり、V4戦からは両国国技館に格上げとなった。

その後は、川嶋勝重、内山高志、佐藤洋太らの防衛戦など。最後は17年。ダブルで寺地拳四朗が先陣、井上尚弥がトリとなった。WBO世界スーパーフライ級時代のV7戦で3回TKO勝ち。大橋ジムは世界戦以外の興行も多く、八重樫東はデビュー会場だった。

文体の名で親しまれた会場は生まれ変わる。地上3階建てでホテルも隣接される横浜ユナイテッドアリーナとなる。来年着工して、24年4月に完成する。こけら落としには井上尚弥がふさわしい? その時、何本目のベルトを持ち、どの階級にいるのだろうか。【河合香】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

日刊スポーツのバトル担当記者のとっておきコラム。プロレス、ボクシング、総合格闘技の現場からお届けします。

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