大相撲裏話

幕尻V取材は20年ぶりの奇跡?徳勝龍の春場所期待

大相撲初場所は、徳勝龍が史上2人目の幕尻優勝を飾った。20年ぶり。その2000年春場所、貴闘力の優勝を取材し、記事にしている。「2度も幕尻優勝を現場で取材するなんて奇跡ですね」と24歳の後輩記者にいじられたが、確かにその通りで、いずれもドラマチックで貴重な経験をさせてもらった。

初場所で優勝し賜杯を受け取る徳勝龍(2020年1月26日撮影)
初場所で優勝し賜杯を受け取る徳勝龍(2020年1月26日撮影)

20年前の記憶はおぼろげだが、がけっぷちの貴闘力は初日から12連勝。13日目に武蔵丸、14日目に曙の両横綱と異例の取組が組まれた。横綱戦に連敗しても単独トップで迎えた千秋楽。関脇雅山に防戦一方も追い詰められた土俵際、奇跡的な逆転の送り倒しで初優勝を飾った。取組後の花道、インタビューでは涙、涙のボロ泣き。「長い苦労を裏付ける記録ずくめの初優勝には大粒の涙が似合った」と書いた。

そして令和の徳勝龍。優勝インタビューでは絶妙の話術を披露し、初場所中に急逝した近大時代の恩師、故・伊東監督を思って涙を流した。その感情の表現の豊かさは、見ている者の心を揺さぶった。強い者が当然の強さを発揮して勝つのも勝負の世界なら、伏兵が意外性を発揮して勝つのも同じ世界。20年前と今回、細かい部分に違いはあっても、受ける感動は全く同等だった。

初めてといっていい注目を浴びた徳勝龍だが、関西人らしいキャラクターはだれもが応援したくなる。母校・近大で優勝報告会が行われたが、環境の激変に「テレビとかに出させてもらって、すごいことをしたんかな、と思うようになった」と言った。

幕内最高優勝を飾ったからといって、おごり高ぶる気配はかけらもない。迎える準ご当地の春場所(3月8日初日、エディオンアリーナ大阪)。「大阪の土俵で暴れられたらいいと思います」。勢いに乗って、上位の壁もぶち破ってほしい。【実藤健一】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

木瀬部屋での祝勝会で鯛を持つ徳勝龍。右は師匠の木瀬親方(撮影・小沢裕)
木瀬部屋での祝勝会で鯛を持つ徳勝龍。右は師匠の木瀬親方(撮影・小沢裕)

取組を見るだけじゃ分からない、日刊スポーツの大相撲担当記者が土俵周辺から集めてきた「とっておきネタ」をお届けします。

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