イノキ・ゲノム・フェデレーション(IGF)は27日、都内の事務所で役員が会見し、創始者で参議院議員のアントニオ猪木氏の夫人の「不当利得返還請求事件」についての経緯などを説明した。

 IGFは、猪木氏のマネジメントを担当した夫人に対し、14年4月~16年2月までに請求された、IGFの業務には関係ないという接待交際費やマッサージ代など約4250万円の返還を求めて提訴。この日、東京地裁で第1回の審理が行われた。

 IGFは、07年に猪木氏が設立した。資本金1億3000万円。猪木氏は31・5%を保有する筆頭株主。会社は猪木氏の意向に沿い、プロレスや格闘技の興行を開催してきた。猪木氏は参議院議員選挙で当選した後の14年にIGF取締役を辞任。株主としてIGFとの関わりを持ってきた。

 昨年6月には、猪木氏と故ムハマド・アリさんとの異種格闘技40周年を記念し、6月26日が「世界格闘技の日」として認定を受けるなど、IGFは、猪木氏も出席した記念パーティーを開催していた。だが、猪木氏は「コーラルゼット」という新たなマネジメント会社を設立。6月には猪木氏側がIGFの現取締役の解任と猪木氏を取締役に選任することなどを求めたが、株主総会で猪木氏の代理人出席が認められないなど対立が深まっていた。

 役員側は、猪木氏が再度株主総会での解任を求めてくる可能性が高いとみている。また、夫人側から送られてきた請求書や領収書について、弁護士や公認会計士に調査を依頼したところ、約4250万円の「不当利得」があることを確認したと主張。返還を求めたが、返還されないことから訴訟に踏み切った。

 さらに役員側の説明によると、夫人側から出された請求書や領収書を精査した段階で、IGFからのお金が、猪木氏の政治活動に使われていたことも判明したという。IGFからの寄付として、政治資金報告書の収支報告書に記載されていないことから、役員側は政治資金規正法違反の疑いがあるとも指摘した。

 会見に出席したIGF青木弘充代表取締役(42)は「政治家アントニオ猪木を我々は必死で応援してきました。残り2年間を清潔な政治家として全うしていただきたいという思いで、今回の会見を開きました」と説明した。猪木氏の娘婿でもあるサイモン猪木取締役(43)は「身内の部分もあるので、正直戦いにくい。猪木さんは昔の猪木さんとは別人みたいになっている。去年の今頃は、アリ-猪木40周年の記念日などで一緒に喜んだ。まさか1年後にこんなことになるなんて、誰も思っていなかった。ファンのみなさんに申し訳ないと思っています」と話していた。