前WBAスーパー、IBF、WBO世界ヘビー級王者アンソニー・ジョシュア(30=英国)が、王座奪回で雪辱を果たした。6月に大逆転負けした同級王者アンディ・ルイスJr.(30=米国)と直接再戦。初回から足を使って距離をとり、右ストレートで確実にポイントを奪った。判定となるも3-0で、2人が118-110、1人が119-109と大差をつけた。

ジョシュアは徹底したアウトボクシングで勝ちにきた。距離をとり、左ジャブを突き、右ストレートを打ち込む。1回には左目尻をカットさせた。4・8キロ減の107・5キロと体を絞ったのも足を使うため。20センチ差というリーチも生かし、ルイスJr.を中に入らせなかった。接近されてパンチをもうらうと、クリンチで封じるシーンも目立ち、終始慎重な戦いだった。

ジョシュアは「ボクに2回勝つのは無理。前回は相手のやりたいようにやられた。打たれないように工夫した」と満面の笑み。砂丘の激突と銘打たれた異例の中立地での再戦。盛り上がりを欠いてブーイングも出たが「すばらしい思い出の記憶になった」と、特設リングに詰めかけた大観衆を見上げた。

前回は3回に左フックでダウンを奪うと畳み掛けて、2度のダウンを奪い返された。ダメージが残り、7回にも2度ダウンし、プロ初黒星で陥落した。その反省から無理をせず、勝ちに執着した。

ポッチャリ王者のルイスJr.は、逆に7・1キロ増の128・6キロで臨んだ。距離が遠く最後まで懐に入れず、スピードあるパンチを打ち込めなかった。「ジョシュアの夜だった。言い訳はしない。追ってもコンビネーションを決められなかった」。メキシコ出身初のヘビー級王者として初防衛を逃すもサバサバしていた。

ジョシュアは「人生はジェットコースター。昇る日もあれば落ちる日もある。3度目をぜひやりたい」と叫んだ。ルイスJr.も「3度目をやれば、ベストが勝つと証明できる」と即答。来年には三度目の正直で決着をつけることになりそうだ。