女子フライ級で18年世界選手権銅メダルの並木月海(つきみ、21=自衛隊)が、全日本選手権覇者の河野沙捺(渡辺溶接所)に5-0で判定勝ちした。

並木は153センチの小柄な体格で、1回から積極的に攻撃を仕掛けた。踏み込みの速さを生かした持ち味の強打を連発。距離を保ちながら左ストレート、2回以降の接近戦では、右ボディーなどを有効的に使ってポイントを稼いだ。最後まで前への精神を貫いた。勝利したことで、東京五輪代表へ前進した。「うれしい気持ちだけど、五輪枠は(開催国枠ではなく)自分でしっかりとつかみたい。ここからが勝負」と気を引き締めた。

千葉県成田市出身。格闘一家に育ち、幼少期から3人の兄妹が習う極真空手の道場へ通った。5歳から男子に交じり、汗を流した。初出場した関東支部大会決勝の相手が、キックボクシング界の「神童」こと那須川天心だった。結果は完敗。小学生の頃も2度対戦して、負けたという。小3からは、友人に誘われるままキックボクシングも始めた。

中学に入ると、格闘技が嫌になった。「普通の女の子になりたい」。1年間、レールから外れ、陸上部に属しながら「普通の生活」を送った。しかし、格闘技を辞めたら何か物足りない。フィットネス感覚で中2の頃、ジムに入門すると才能が一気に開花した。ボクシングの名門、埼玉・花咲徳栄高時代は、毎日成田発午前4時45分の電車に乗り込み、片道2時間半かけて通学する生活を続けた。「これが当たり前」と自然と根性もつけた。

那須川とは今でも親交があり、試合前にもLINEで「頑張って」と、連絡があったという。

「格闘技界で有名になった天心を小さい頃から知ってる自分としては、憧れというよりは抜かしたい。東京五輪での金メダルは、夢から目標に変わった。しっかり、その最大の目標をかなえたい」

153センチのボクサーの挑戦はここからだ。

 

その他、フェザー級は入江聖奈(日体大)、ライト級は浜本紗也(日大)が勝利し、2月の東京五輪予選を兼ねるアジア・オセアニア予選と5月の世界予選の代表権を獲得した。