21年ボクシング世界選手権で日本人初の金メダルを獲得したWBO世界バンタム級14位坪井智也(29=帝拳)が元世界王者となる現世界1位を撃破した。元WBC世界スーパーフライ級王者の現WBC世界同級1位カルロス・クアドラス(37=メキシコ)との同級10回戦に臨み、8回2分59秒、TKO勝ちを収めた。
7回までジャッジ3人ともフルマークという快勝劇だった。坪井は「(レフェリー)ストップについて、あまり考えていなかった。流れの中で出来て良かったと思う。自分の中で連打は速すぎてあんまり相手が嫌がっていなかったので途中からためて打つようにしたら、ああいう形で終わった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
今年6月、パン・タオ・トラン(ベトナム)とのWBOアジア・パシフィック・バンタム級王座決定戦以来、約5カ月ぶりのリングだった。過去6度の世界王座防衛、2度の世界王座獲得という実績を誇るクアドラスに対し、坪井は左ジャブ、左フック、ボディー攻撃と手数多く攻め込み、8回には一気にラッシュをかけた。最後は右ストレートから左フックをねじ込んだところで試合が止められた。
坪井は「自分の想定としては、なかなかラウンドを取りずらい展開なるのかと思っていた。1ラウンド目から自分のやるべきことは前の手と上下の打ち分けだった。クアドラス選手も足と身のこなしがうまいので、そこで負けないようにしていたが、ある程度、勝負がついたので良かったと思った」と元世界王者撃破の手応えを示した。
これでWBCでの上位ランキング入りは確実だ。日本プロボクシング協会の内規となるアジア王座も獲得しているため、国内での世界挑戦も可能。今年3月にプロデビューしたばかりだが、来年のプロ4戦目で世界挑戦できる可能性が広がった。もし4戦目での世界王座獲得となれば田中恒成の5戦目を抜く日本男子最速記録となる。
25年を3連勝で終え、26年を迎える坪井は「これで世界ランキングも1ケタになると思う。まず来年中に1つ目、この内容でどうなるか分からないが、できればやりたい。来年中に残りのベルトも全部取れるように頑張りたいと思う」と決意。世界王座獲得だけでなく、4団体王座統一まで目標に掲げていた。
◆日本男子の最速世界王者 15年5月、田中恒成がWBO世界ミニマム級王座を5戦目で獲得したのが最速。14年4月に井上尚弥が6戦目でWBC世界ライトフライ級王座を獲得した記録を更新。世界最速は元ムエタイ王者で75年にWBC世界スーパーライト級王座を獲得したセンサク(タイ)と、北京&ロンドン五輪金メダルで14年6月にWBO世界フェザー級王座を獲得したロマチェンコ(ウクライナ)の3戦目。
◆坪井智也(つぼい・ともや)1996年(平8)3月25日、静岡・浜松市生まれ。小学1年から6年間、空手を学ぶ。同小6年時に同市のリードジムで競技を開始。浜松工から日大に進学し、全日本選手権でライトフライ級4連覇。21年世界選手権バンタム級で金メダルを獲得。24年末まで自衛隊に所属。アマ戦績は106勝(10KO・RSC)25敗。25年1月にプロ転向表明し。25年3月、2回TKO勝ちでプロデビュー。同年6月にはプロ2戦目でWBOアジア・パシフィック・バンタム級王座を獲得。既婚。身長160センチの右ボクサーファイター。

