大関昇進を狙う関脇照ノ富士(23=伊勢ケ浜)に初日が出た。西前頭3枚目大砂嵐(23)との力比べを制し、寄り切って1勝1敗とした。

 前日とは別人のようだった。照ノ富士は鋭い眼光で大砂嵐をにらみ付けた。「あいつがにらんでくるから。負けたくない」。立ち合いは一瞬出遅れたが、のど輪に1歩も引かない。左上手を取ると「もう勝ったなって。あいつは四つだったら力が出ない」。自信を持って力比べを制し、盤石の寄りで初日を出した。

 前夜は猛省だった。佐田の海を抱え上げ、体を入れ替えて土俵際へ。「勝ったと思った。力を抜いちゃった」。逆に入れ替わられ、寄り切られた。師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)からは「普通に当たって前に出ろ!」「余裕かましたらダメだ!」と、おきゅうを据えられた。取組直後はぼうぜんとしたが「こんな大事な場所なのに、あんな情けない相撲…泣きそうだったよ」。込み上げてくるのは後悔ばかりで、巻き返しを誓っていた。

 「仲いい友達の1人」という大砂嵐とは、若い衆時代からの付き合い。間垣部屋で三段目だった11年11月、入門前の大砂嵐と片言の英語で言葉をかわした。「一緒に(上に)上がろう」。約束は果たし、今では「いつ三役に上がるんだ?」と笑い合う仲。「(のど輪を食らって)ちょっと焦った。一気に出られたら俺、終わってたな」。そう振り返る表情は穏やかだった。

 まず1勝を挙げ、重圧から解放かと思いきや「1個だけ勝ってどうすんの? あと13番。1番1番」。大関昇進へ、14個の白星を積み上げるつもりだ。【桑原亮】

 ◆初日黒星で大関昇進 1場所15日制が定着した1949年(昭24)夏場所以降、大関に昇進したのは66人いる。そのうち、直前場所で初日黒星スタートから昇進を決めたのは千代ノ山、三根山、北葉山、琴桜、魁傑、旭富士、琴欧州、豪栄道の8人。確率は約12%。照ノ富士の師匠、旭富士は2日目から8連勝するなど12勝3敗。豪栄道は白鵬を2場所連続で破るなど12勝3敗だった。