横綱白鵬(30=宮城野)が、1敗で並んでいた新大関照ノ富士(23)を技と力でねじ伏せた。左上手を素早く取ると、相手に上手を与えず、最後は全力で寄り切り、1分10秒の熱戦を制した。自己記録更新の51場所連続2桁勝利となる10勝目で、鶴竜(29)とともに1敗をキープし、35度目の優勝へ前進した。

 全身から汗が噴き出した。荒い息づかいは、熱戦だった証し。白鵬が、今場所3度目となる1分超えの激闘を制し、新大関の挑戦をはねのけた。

 先場所の初優勝で勢いづく照ノ富士に、34度優勝の技と力を見せつけた。立ち合いで素早く左上手を取ると、相手には上手を許さない。すくい投げで揺さぶり、まわしを与えないように腰も遠ざけた。上手が伸びて、相撲が長くなっても焦らない。最後は、上手をつかみ直し、こん身の力で寄り切った。

 「まあ(相手は)若さもありますしね、上背も、体重も上回ってますから。今場所はこういう相撲が多いんで。まあ、前に出られたんで、いいなと思いました」。風呂上がりの支度部屋では激しかった呼吸も静まり、淡々と振り返った。

 曙と並ぶ史上5位の横綱48場所目。在位中に対戦した新大関は照ノ富士で8人目になったが、壁になる強い気持ちは変わらない。場所前は「自分もいい刺激を受けながら、自分を磨いてね。新鮮だし、燃えるね」と話していた。若い力の台頭を歓迎しつつ、発奮材料にして気力を高めていた。

 9日目の逸ノ城戦のダメ押し行為で、審判部から師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)を通じて注意を受け、10日目は栃煌山に敗れた。だが、悪い流れも新大関を下して止めた。自己記録更新の51場所連続2桁勝利も達成。1敗は鶴竜と2人になり残りは4日。「まあ、まだまだ。集中していきたい」。伸び盛りの難敵を退けた高揚もなく、静かに口にした。【木村有三】