関脇栃煌山(28=春日野)が、大関稀勢の里(29)との全勝対決を制した。10勝した先場所からさらに進化した強力な立ち合いを生かして、寄り切った。初日からの5連勝は、09年初場所以来6年半ぶり。大関昇進への足固めが、着々と進んできた。勝ちっ放しは大関照ノ富士(23)を含めて2人となった。

 低く、重かった。栃煌山が会心の立ち合いで、稀勢の里を破った。押し込もうとする相手の圧力を我慢すると、すかさず両腕を差して前に出た。「自分の方が体勢が低かった。ずっと同じ高さで行こうと思った。すごく良かった」。自画自賛の攻めで、無傷の大関を土俵下まで吹っ飛ばした。

 名古屋場所で10勝して大関への足掛かりをつかみ、迎えた大事な秋場所前。左膝を痛めた。4日の横審総見など3日ほど稽古を休んだ。だが、けがの功名で師匠の春日野親方(元関脇栃乃和歌)から、じっくり助言を受ける時間ができた。

 「腹が決まってなかったから、シンプルに迷わずやれと言ったんだ」と同親方。「仕切りや足の運び方を教えてもらった」という栃煌山は、朝稽古後の居残り立ち合い特訓を連日実行。受け役の幕下碧天は「腰が入っていてヤバイ。先場所より当たりが強い」とパワーアップぶりを証言した。

 膝は師匠の知人に治してもらった。ゴマすり棒のような短尺の木製棒で、足全体をほぐす特殊な治療法だった。筋肉の割れ目に食い込むため「めちゃくちゃ痛い」と苦笑するが「やってもらうと痛みが消えるんです」。膝の回復も強力な立ち合いにつながっている。

 「気合も入るし、負けたくない」という同世代の稀勢の里を破り、09年初場所以来の初日から5連勝。直近3場所33勝が目安の大関昇進へ、北の湖理事長(元横綱)も「今場所11、12勝あげれば来場所が楽しみになる」と期待する。もちろん、大関への思いも強い栃煌山は「1番も負けたくない」ときっぱり。さらに自信を増して、優勝争いを引っ張る。【木村有三】