大関照ノ富士(23=伊勢ケ浜)が、初めて中日勝ち越しを決めた。関脇妙義龍(28)に得意のもろ差しを許しながらも小手投げで下し、初日から8連勝。冷静な判断力が光り、優勝争いを単独トップで折り返した。
もろ差しのスペシャリストさえも、ねじ伏せた。照ノ富士は妙義龍の鋭い出足を受け止めるが、両腕を深く差されて相手十分。そこからが真骨頂だった。「あんな体勢になっちゃったら(まわしに)届かない。もうそれしかないから。焦ることなくできた」と、ガッチリときめて左右に振り回し、相手の力を利用して小手投げ。新入幕から10場所目で初めての無傷8連勝にも「普通。あんまり変わんないよ」。すでに横綱の風格が漂った。
前半戦を重要視していた。夏巡業後のある日、新大関で臨んだ名古屋場所をこう分析した。「豪栄道に勝ってたら、優勝したかもな」。7日目の豪栄道戦で初黒星を喫し、終盤戦で失速。11勝に終わった反省を生かし「先場所は右を差すばかり意識して負けたのもある。今場所はその時に合わせて、当たって流れで」と、冷静に勝機を見極める。今場所は小兵には速攻相撲、巨漢には時間をかけて退けてきた。
横綱白鵬が休場し、優勝候補の本命となった。驚くほど冷静な理由を「どんな体勢でも相撲を取れる意識があるから、焦らないんじゃないですか」と、稽古量に裏打ちされた自信がある。2度目の優勝へ向け、首位ターンも「まだ終わってないもん」。まわしにも優勝にも、今はこだわらない。【桑原亮】

