東前頭筆頭妙義龍(32=境川)が、横綱稀勢の里(32=田子ノ浦)を寄り倒しで破り、自身33場所ぶり3度目の金星を挙げた。

左四つから右でおっつけ、素早く巻き替えてもろ差しになった。「パッと右を差し替えられたのが良かった」と妙義龍。じわりじわりと寄り、最後は横綱を寄り倒した。

左膝半月板損傷で、昨年の九州場所14日目から休場し、次場所は十両に陥落した。「去年休場した場所で、まだ1年もたっていないけど、戻ってきて結びを取ることができてうれしい」。緊張気味に迎えた結びの一番を、感慨深げに振り返った。

場所2日前、田子ノ浦部屋が出稽古に訪れた。稀勢の里と申し合いを取り15番で2勝13敗と完敗。中学を卒業してたたき上げで横綱まで上り詰めた稀勢の里と、大学から角界に飛び込んだ妙義龍。キャリアが大きく異なる、同学年の横綱からの指名は「うれしかったから、自分のいいところを出したかった」。

妙義龍は今場所、東前頭筆頭で勝ち越せば三役昇進の可能性もある。上位との対決が続くが、意識は「あんまり変わらない。いつもと時間配分が違うだけ」と、マイペースに話した。