大相撲春巡業が22日、栃木・佐野市で行われ、同県出身で双子の十両貴源治(21)と十両貴ノ富士(21)が、地元で今後の飛躍を誓った。

育ちは茨城県だが、生まれは父の故郷でもある小山市。「(相撲界に入って)こうやって来るのは初めて。田舎はいいですね」と感慨深く話した弟の貴源治は、前日の夜に名物の「佐野ラーメン」と味わったという。「昔食べた記憶があって懐かしかった。(味は)最高でした」と満面の笑みを見せた。兄の貴ノ富士も「通っていた保育園の先生も見に来てくれた。うれしかった」と、幼少期を回顧しながら喜んだ。

先場所、東十両4枚目で8勝7敗と勝ち越した貴源治は、新入幕を目前としている。夏場所(5月12日初日、東京・両国国技館)では「幕内を決めることを念頭に置きたい」と覚悟を語った。

貴ノ富士は新大関の弟弟子に刺激を受ける。先場所で1年ぶりに十両復帰を果たしたが、6勝9敗と勝ち星を伸ばせず、来場所は幕下陥落が濃厚。その場所で大関昇進を決めた貴景勝は1学年上だが、プロ入りは兄弟より1年以上遅い。

「めっちゃ悔しい。先に別格といわれる地位にいかれた」と貴ノ富士。悔しさをにじませながら、新大関から精神面で見習う場面は多い。「いいときも悪いときも腐らずコツコツとやっている。年齢は1つしか変わらないけど、こんなに違うんだなと思っている。大事なところで白星をつかみきる精神的な強さを見習いたい」。

貴源治も「まげを切るときにどの地位にいるかだと思う」とライバル心をのぞかせた。「早いと記録になるけど、気負いせずやっていきたい」と、焦らず追いかける。