横綱白鵬(34=宮城野)が、またしても若手の壁になった。
先場所初優勝した前頭朝乃山を約40秒かけて料理し、上手投げで下した。43度目の賜杯に向けて連勝発進。場所前には出稽古に訪れ、自らを憧れの存在として挙げるホープの挑戦を退けた。先場所は右上腕の負傷で休場したが、横綱在位12年となる今場所は死角は見当たらない。横綱、大関以上では高安、栃ノ心が敗れた。
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開口一番、取組後の支度部屋で白鵬が用意していたかのように言った。「邪魔してやりましたね」。初日に豪栄道を破り、実力を証明しつつある朝乃山に完勝。「まだ譲らない気持ちがある。(朝乃山は)これでまた成長するんじゃない」。
先に上手を取って主導権を握った。左前ミツ、右下手で攻め手をうかがい、相手が引きつけて前に出ようとしたタイミングを見逃さなかった。最後まで上手を与えず、豪快な上手投げで朝乃山を裏返し。「(上手を)今思えば取らせても良かったかもしれないけど、勝負だから。勝たないと意味がない」。違う展開に好奇心を示しつつも、勝利にこだわった。
意欲ある若者の出現に、少なからず好感を抱いている様子だ。今月1日には出稽古に来た朝乃山を9勝2敗で返り討ち。出稽古に来る若手力士が減る中で、強さを求めてやってくる朝乃山を歓迎した。「今の(若い)子は分からないけどね。僕なんかはおやじや師匠に(出稽古に)ガンガンいけっていう教えがあった」。場所前はモンゴル国籍離脱が受理され、日本国籍取得に向けた動きが着々と進んでいる。引退後の角界を見据えてか「こっちは時間がないから、どんどん来てほしいね」と、呼びかけるように言った。
ちょうど12年前の名古屋場所が新横綱。「名古屋はいいね」と愛着がある地で、白鵬は地位の責務を果たす。【佐藤礼征】

