かど番大関栃ノ心(31=春日野)が踏ん張った。立ち合いで左に動き、左上手で竜電のまわしをつかむと、時間をかけて寄り切った。

負ければ8敗目で、2度目の大関陥落が決まる一番。「朝から決めていた。朝稽古でも2度ぐらい試した」と言い「がっちり取れた。後は左を差されないよう、右手でブロックしてね」と思い通りの取り口を振り返った。

数日前、訃報が届いた。3年前まで大銀杏(おおいちょう)を結ってもらった元床山の酒井和美さんが急逝した。68歳だった。定年後も運転手として場所まで送迎してもらった。亡くなる前日もお願いし「また明日ネ」と手を振り、別れたのが最後となった。

「次の日、朝稽古で部屋に行って(亡くなったと)聞いて、ビックリした。本当にいい人。元気だったんだよ」

この日は取組後、都内で酒井さんの通夜に出向き、冥福を祈った。残り2日で2連勝が大関残留の条件。栃ノ心は、酒井さんのためにも負けられない。