大相撲11月場所(8日初日、東京・両国国技館)で三役復帰を果たした小結高安(30=田子ノ浦)が10月31日、電話取材に応じ、現状の充実ぶりを明かした。

朝稽古では、部屋付きの荒磯親方(元横綱稀勢の里)と三番稽古を15番ほど取ったという。「とても復調しているので、とてもいい稽古ができています。盤石に攻めるという、しっかり自分の形になって、土俵際をしっかり踏ん張っていくことを意識してやっています」と稽古内容を振り返った。

つらい時期を乗り越えて、三役復帰を果たした。大関だった昨年名古屋場所を左肘の靱帯(じんたい)断裂で途中休場すると、翌秋場所は完治せずに全休。九州場所は出場するも、ぎっくり腰で途中休場するなどケガが重なった。

今年の初場所で関脇に陥落したが、「正直なところ、だいぶ精神的にきついところがあったけど、応援してくれる方々がいましたので、もう1度体を作って頑張りたいという気持ちで日々やってきた」と腐ることはなかった。

再起を図った春場所で初日から3連敗すると、4日目の横綱鶴竜戦で左太ももを負傷して途中休場。「本当に立て続けにケガが重なりましたので、ちょっと気持ちがだいぶぐらつきましたね」と精神的に追い込まれたという。

7月場所では番付を幕内下位に下げた。そんな時も「妻もそうですけど、自分の両親とか、身の回りの人にだいぶ支えられた。それをモチベーションにして何とか頑張れた」と周囲の支えに何度も助けられた。

新型コロナウイルスの影響で5月の夏場所が中止となり、自粛期間が続いたことで自分を見つめ直す時間が増えた。「自分の体を見つめ直す、とても貴重な期間になりました」。

ケガをしない体作りの他、体重管理に着手。今年7月に結婚した演歌歌手の杜このみのサポートもあり、現在の体重は170キロほどだという。「妻には自分のパフォーマンスがよくなるように気を使っていただいている。特にこの時期は体の調子を自分でコントロールするしかないので、妻がいてくれて充実した毎日を送れています」と感謝した。

度重なるけがに苦しみながらも周囲の支えもあり、7月場所と秋場所で2場所連続2桁白星。関脇だった初場所以来となる三役復帰を果たした。「体の故障で番付を下げたけど、思ったより順調に番付をまた上げることができた。とてもポジティブに今は出来ている」と手応えを口にした。

簡単なことではないが、大関復帰については「1場所1場所結果を出していかないと。またひと回りもふた回りも成長して、しっかり結果を出して、また審判の皆さんに評価されるような相撲を取りたい」と話した。

1年納めの場所に向けては「会場に見に来てくださるファンの方もまた多くなる。そういった方々やテレビの向こうのファンの方々に元気な姿を見せたい。また大相撲の盛り上がりに少しでも尽力できるように頑張りたい」と意気込んだ。