大相撲11月場所を左足首の負傷で途中休場した大関正代(29=時津風)が30日、かど番で迎える初場所(来年1月10日初日、東京・両国国技館)に向けて「(完治は)そこまでにはさすがに間に合うと思う。勝ち越せればいい」と再起を誓った。

都内の部屋での稽古後、報道陣の電話取材に対応。この日はテーピングで左足首を固定し、負荷を抑えた四股、すり足を行った。

初土俵から6年で初めての休場が、新大関場所だった。3日目の高安戦で土俵際の突き落としを決め、土俵下に落ちる際に負傷。「変に勝ちにこだわり過ぎて、このけがにつながったところもある」と唇をかむ。

不安を抱えながら出場した4日目は、左足に力が入らず大栄翔に一方的な相撲で敗れた。「休場に踏み切れなかった。取れそうなところがあるんだったら、できれば休みたくなかった」。

5日目の朝、日本相撲協会に「左遠位脛腓靱帯(じんたい)損傷により約3週間の安静加療を要する見込み」との診断書を提出。苦渋の決断を下した。

休場中はテレビで幕内の取組を観戦した。「違和感ありましたけど、自分の中ではいい経験になった」と前向きに振り返る。普段はあまり見返すことのない他の力士の取組をじっくり観察できたという。

3大関の1人、貴景勝が大関として初めての優勝を飾ったことも刺激。「悔しいって気持ちは出てこなかった。いい刺激をもらった。頑張らなきゃいけない」と力を込めた。

アマチュア時代からけがで大会を棄権したことはなく、長期のけがには慣れていない。患部の状態については「歩く分には痛みはないですね。普通に四股を踏む分だったら痛みは感じない。足の位置を変えずに体をひねったりして、足首がねじれる感じするとちょっと痛みが出ますね」と説明。初場所の番付発表が行われる24日までに、相撲を取る稽古に「挑戦はしたい」と話した。

来月18日からは両国国技館内の相撲教習所で合同稽古が行われ、自身も参加した前回とは違って途中参加も可能だが「行くだけ行って参加できなかったらあれなので。おとなしくしときます」と、今回は見送る方針を示した。

新年最初の場所が、いきなりかど番。「そのときはそのとき。自分の中では大関に上がれたっていうことがすごい、信じられないぐらいの出来事。胸を張って土俵に上がれたらいい」。気負わずに臨む。【佐藤礼征】