大関豊昇龍(25=立浪)が連敗で3敗目を喫し、綱とりは絶望的な状況となった。
過去6戦全勝と圧倒してきた平戸海の突き落としに屈し、無傷の連勝を9に伸ばした西前頭14枚目の金峰山とは3差に開いた。逆転優勝の可能性は残されているとはいえ、横綱を目指す上で平幕力士を相手に9日間で3敗は痛恨の極み。わずかな可能性を求めて、残り6日間にかける。1敗も勝ち越しを決めた西前頭5枚目の千代翔馬1人となった。
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風呂を終えた支度部屋。豊昇龍の表情は硬く、動かなかった。「今日はやめてくれ」。相撲に関する質問を閉ざした。自身もこの日に喫した黒星の重さは理解するしかなかった。
過去6戦全勝と圧倒していた平戸海との一番だった。逆に「負けられない」思いからか、全身の動きが硬直した。突き放しにいくが押し込めない。平戸海に左からいなされると体は泳ぎ、最後は突き落とされた。らしさがまるでない3敗目。連敗を喫しての横綱昇進も過去には1度もない。おじの元横綱朝青龍に並ぶ地位は、この瞬間に遠く離れていった。
目の下の隈(くま)も目立ってきた。眠れているかの問いかけに「寝ているよ」と返した。肌で痛感したはずの横綱への険しい道のり。ただ、豊昇龍は「(綱とりの)意識なんて最初からしてないよ」と精いっぱいに強がった。
先場所は幕内で自己最高の13勝2敗。琴桜と千秋楽相星決戦まで持ち込み、今場所の「ダブル綱とり」につなげた。さらに横綱照ノ富士が引退。ぽっかり空いた番付最高位に座ってほしい。日本協会が、相撲ファンが願ったシナリオは崩れようとしている。
琴桜との「千秋楽相星決戦」に敗れた先場所、豊昇龍は「死ぬほどやり返す」と誓った。その言葉通り、てっぽう1日1000回など原点に立ち返った猛稽古で自らを鍛え直してきた。
そんな努力も、思うようにかなわないのが厳しい勝負の世界。「まだ終わってないよ」。全勝するしかない残り6日。綱を目指す豊昇龍の旅はまだ終わっていない。【実藤健一】
▽幕内後半戦の高田川審判長(元関脇安芸乃島) 豊昇龍は前に出ようとしていて、悪い印象はない。気持ちは入っているが、平戸海の立ち合いがよかった。残り、どんな相撲を見せてくれるか。優勝がどのライン(何勝)になるか、分からなくなっている。まだ9日目なので、全て終わってみないと何とも言えない。

