東十両9枚目の白熊(26=二所ノ関)が“電車帰り効果”で、今場所随一の快勝を飾った。十両宮乃風に立ち合い、胸で当たると左をのぞかせ、一気に走った。得意の右四つとは逆だったがお構いなし。そのまま寄り切って3勝2敗とした。
前日17日の4日目の取組後は、今場所初めて、電車で茨城・阿見町の部屋まで、約1時間かけて帰った。3日目までと、4日目の行きは、用意された自動車で移動したが、どうしても4日目の帰りだけ用意できなかったという。敗れた道中を思い返しながら、この日の取組後、白熊は「昔を思い出しました。(新弟子が半年間通う)教習所のころとか。いろいろと思い出して『頑張ろう』という気持ちになりました」と、関取を夢見ていたころの記憶がよみがえってきたという。
新十両昇進が2年前の同じ秋場所。2年間のうちに、関取の地位も、自動車で送り迎えされながら、本場所の15日間を戦うのも「当たり前みたいになっていましたね」と、感じていた自分がいたという。
前日は午後3時30分過ぎに両国国技館を出て、付け人2人と、まずは上野駅までタクシーで向かった。上野駅からJR常磐線に乗ったが「思っていたよりも混んでいました」と、大きな体で迷惑をかけない意味でも、普通電車の「グリーン券」を購入して座った。そこは若い衆の時とは違う“関取特権”だが、それでも「グリーン車も混んでいて」。常磐線のグリーン車には2階建ての1、2階の座席と、普通車両と同じ高さの座席、計3タイプある。「自分は、本当は普通の高さのところに座りたかったんですけど、そこが埋まっていたので2階に座りました」。帰り道も、希望した通りの座席に座ることはできなかったが、それも含めて、初心を取り戻した様子だ。
「まずは勝ち越したいですね。最近、ずっと勝ち越していないので」。昨年名古屋場所で十両優勝し、翌秋場所で新入幕を果たしたが、そこから先場所までの1年間、6場所で勝ち越したのは1場所のみ。先場所まで3場所連続で負け越し中。「まずはあと5勝。そこから、さらに積み上げられれば」。原点回帰の快勝は、何よりも前向きな気持ちを取り戻させていた。

