大関復帰を決めた関脇安青錦(22=安治川)が、3場所ぶり3度目の優勝を果たした。単独トップの2敗で千秋楽を迎え、本割で1差の関脇熱海富士(23=伊勢ケ浜)に敗戦。大関霧島(30=音羽山)と3人で3敗で並び、ともえ戦での優勝決定戦で熱海富士と霧島を連破した。夏場所は全休し関脇へ陥落したが、10勝して1場所での大関復帰。大関返り咲きを決めた場所を史上初の優勝で飾った。

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痛めた左足を、必死に振った。優勝決定戦の3戦目。安青錦は、霧島の胸に頭を合わせた。相手の右足を外から崩し、寄り切り。頭から土俵下に落ちながら勝ち切った。口元はゆがみ、土俵に手をつき立ち上がる。苦しそうな表情と裏腹に「初優勝くらいうれしい」。しっかりした足取りで、堂々と花道を引き揚げた。

「1日三番」の死闘を制した。勝てば優勝の本割で熱海富士に敗戦。押し出され、ジャンプするように左足から着地した。顔をゆがめ、患部に手を添えた。足をひきずって十両の支度部屋に戻り、付け人に扉を閉めさせた。“個室”で思いを巡らせ「ここで終わる人間じゃない」。気持ちを奮い立たせ、再び土俵へ。左足だけだったテーピングは両足に巻かれ、限界は確かに近づいていた。

過去2度制した得意の決定戦。今回はともえ戦だった。最初は土俵下で見届け、霧島を破った熱海富士と再戦。「悔いが無いように力を出し切る」。今度は勝った。霧島にも勝った。3度目の頂点に立ち、前回はおぼつかなかった君が代も口ずさんだ。「おかみさんに教えてもらい、ずっと練習していた」と明かした。

激動の1年だった。昨年の名古屋場所は、三役にもなっていなかった。大関に昇進し、今年の春場所で綱とりに挑んだ。しかし左足小指を骨折。5月には左足首を痛めた。夏場所は全休し、在位3場所で陥落。1場所での復帰を目指した。

苦闘は続いた。中日に左足親指から流血。歩くだけで痛みが走った。思うように体が動かず「自分の相撲ができない」とこぼしたこともあった。それでも11日目に10勝を達成。ホッとして緊張の糸が一瞬切れ、痛みが再発。休場の選択肢もありながら、目指す場所は違った。「10勝ではなく優勝」。場所前に安治川親方(元関脇安美錦)と決めた目標があった。「ここまで来たら、行けるところまで行く」と突き進んだ。八角理事長(元横綱北勝海)からは「足を痛めて満身創痍(そうい)だったから、気持ちでしかないよ。大したもんだ」とたたえられた。

特例での大関決定復帰を、初めて優勝で飾った。5場所連続の12勝3敗決着。そのうち3回で賜杯を抱いた。“戦国時代”の先頭を走り、次の夢が見えた。「安青錦らしく我慢強い相撲を取って、また一番上の番付を目指したい」。一度は手をかけた地位に、また一歩近づいた。【飯岡大暉】

 

【動画】️安青錦が優勝決定巴戦制し3度目V、本割敗れるも熱海富士、霧島撃破

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