29日に投票が始まった第10回AKB48世界選抜総選挙(6月16日、ナゴヤドームで開票)の速報結果が30日に発表され、NGT48荻野由佳(19)が、昨年に続いて2年連続で1位に立った。

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 努力は必ず報われる-。秋葉原の地下アイドルから国民的グループにまで駆け上がったAKB48の揺るがない「家訓」。グループ初代総監督の高橋みなみが説いた、アイドルとしての生き方だ。

 荻野は、AKBを始めとする100以上ものオーディションに落ち続けた。それでも夢を諦めずに、ようやく地方都市の新潟でアイドルになると、ライブだけでなく、握手会でも誰よりもハイテンションな対応でファンを出迎え続けてきた。恋人感覚の上目遣いや猫なで声は一切なし。跳びはねたり大声で笑い、ひたすらフレンドリーに接する。

 娘や親戚の子を応援する感覚の中高年層から絶大な支持を得て3連覇した指原と同じく、荻野ファンは皆「サービス精神旺盛なところが楽しい」と笑いながら話す。オタク用語で「ガチ恋系」といわれるような、荻野を恋愛対象としてみるファンは皆無だ。

 「アイドルとの恋愛」は夢物語。そこへの淡い期待を巧妙に引っ張り続けるのではなく、目の前の一瞬を楽しませることに人の何倍もの全力を注ぐことで、“浮気をされにくい”強固な支持を獲得してきた。

 高橋イズムの体現者にして、指原のエンターテインメント力と、前田敦子のような手足の細長い抜群のスタイルも兼ね備える。デビューわずか2年半でも、すでに根拠のある要素が幾つも備わっている。【瀬津真也】