NGT48の現行チーム体制での千秋楽公演が21日、新潟・NGT48劇場で行われ、昨年12月に男2人から暴行被害を受けたとされる山口真帆(23)が101日ぶりにステージに立ち、グループ卒業を発表した。グループを運営するAKSの対応をあらためて批判するなど、両者の溝は最後まで埋まらなかった。悔しさをにじませ、自らグループを去ることを決断した。

  ◇    ◇    ◇

アンコールで長谷川玲奈(18)菅原りこ(18)が相次いで卒業を発表する中で、「ちょっと待ってください。私、山口真帆は、NGT48を卒業します」と最後に切り出した。しんみりする劇場内が、水を打ったように静まりかえった。

今回の事件は1月9日に、山口自身によるSNSでの“告発”で明らかになった。「自分がつらかったからこそ、大切な仲間たちに同じ思いをしてほしくないと思ってとった行動でした」と改めて説明。事件を明らかにした直後、AKSの社長から、暴行事件を起こした男性2人が「不起訴になったイコール事件じゃない」と言われ、さらに「今は会社を攻撃する加害者だと言われています」と、批判の対象が自分に向けられている現状を赤裸々に語った。

騒動が拡大する中で、AKSは第三者委員会を設置。事件へのメンバーの関与を否定した上で、ファンとの“つながり”を持ったメンバーを不問にするとした。山口は「何をしても不問なこのグループに、もうここには私がアイドルをできる場所でなくなってしまった。目をそらしてはいけない問題に対して『そらせないならやめろ、新生NGT48を始められない』というのがこのグループの答えでした」と痛烈に批判した。

不本意な状況下で卒業を決断した悔しさもにじませた。「今日まで耐えて最善を尽くしました。私には人の命より大切なものが何か分かりません。今の私にNGTのためにできることは、卒業しかない。正しいことをしている人が損をしてしまうのはあってはならないと思います」と訴えた。

来月5~6日に握手会を行い、同18日に、菅原、長谷川と卒業公演を開催する。「以前のように歌って踊って、毎週のように握手会があって、『またね』と言い合いたいのですが…。今後は、今の苦しい姿ではなく、元気な姿を見せてみなさんが私を助けてくれたように、みなさんに手を差し伸べられるようにしたい」とファンへの感謝も述べつつ、今後も芸能活動を続ける意志も示した。

山口が発する言葉に会場はざわめき、劇場内に入れなかった一部のファンからは「ふざけるな!」と怒号が飛んだ。一連の騒動の発覚から約4カ月。後味の悪さが残る、卒業発表だった。【大友陽平】

 

▽山口の卒業発表前には、長谷川玲奈(18)菅原りこ(18)が同時に卒業を発表した。トラブル発覚後も、山口に寄り添っていたメンバーという。長谷川は「もっともっと頑張らないといけない時に、このタイミングで皆さんを悲しませてしまって申し訳ございません」。菅原も「一緒に歩んできてくださった皆さまのことを考えると、不安や切ない気持ちでいっぱい」と話した。

 

▽劇場鑑賞したファンも、山口の卒業発表に納得がいかない様子だった。新潟市内の20代男性は「なぜ、まほほんをはじめ、他の2人も卒業しなければならなかったのか」。グループ結成当初から山口ファンという横浜市の40代公務員男性は「公演の最初は緊張していたけど、途中から吹っ切れた笑顔だったので決意を固めていたんだと感じた」。他の48グループのファンでもあるとし「全体の問題。グループを管理する覚悟があるのか」と話した。