人気スパイ映画「007」シリーズの記念すべき25作目となる新作「ボンド25(仮)」の制作発表がこのほどジャマイカで行われ、待望の最新作の情報がついに明かされました。原作者イアン・フレミングが執筆の拠点としていた別荘「ゴールデンアイ」があり、シリーズ第1作「007/ドクター・ノオ」(62年)や「007/死ぬのは奴らだ」(73年)のロケ地でもあるシリーズゆかりの地であるジャマイカで行われた記者会見は、監督やキャストが一堂に会して世界中にストリーミングで生中継もされる大規模なイベントとなりました。

6代目ジェームズ・ボンドを演じるダニエル・クレイグの最後の出演作となる本作は、日系米国人のキャリー・フクナガ監督が抜てきされた以外は謎に包まれていましたが、このイベントでは注目の出演者が正式発表されました。M役のレイフ・ファインズ、ビル・タナー役のロリー・キニア、Q役のベン・ウィショー、ミス・マネーペニー役のナオミ・ハリスらの続投が発表された他、新キャストとして出演がうわさされていたラミ・マレックの出演が正式に発表されました。「ボヘミアン・ラプソディ」で今年のアカデミー賞主演男優賞に輝き乗りに乗っているマレックは、仕事の都合でイベントには出席できなかったものの、「Mr.ボンド、今回のミッションは決して簡単ではないことを約束しよう」とビデオメッセージを寄せ、ボンドと対決する悪役を演じることが明らかになりました。他には、「ブレードランナー2049」(17年)などで知られるアナ・デ・アルマス、「ドラゴンタトゥーの女」シリーズのデビッド・デンシック、今夏公開予定の「アラジン」に出演するビリー・マグヌッセンらが新キャストとして加わることも発表されました。

本作を最後にボンド役を卒業することが確実なクレイグは、「子供の頃から家族と一緒に見てきた大好きな作品」と同シリーズについて言及。55年以上にわたって作品が作り続けられてきたことについて、「原作者のイアン・フレミングによって作りこまれたキャラクターや設定、舞台や背景が映画でもしっかりと踏襲されているので、違う役者がボンドを演じても一貫性が保たれていることが長年ファンを魅了してきた理由だと思う」とコメント。伝統を守りながら素晴らしい映画を作ってきたと語り、記念すべき25作目の始動を監督やキャストと共に祝っていました。

気になる本作の筋書きは明らかにされていませんが、製作者のバーバラ・ブロッコリさんによると、英情報機関の諜報員を退いたボンドがジャマイカで隠居生活を送っていた場面から物語が始まることを示唆。引退したボンドの元に旧友のCIAエージェント、フェリックス・ライターが訪れ、誘拐された科学者を救い出して欲しいと依頼したことから正体不明の敵と戦う内容になるものとみられています。第1作同様にジャマイカでロケが行われる他、ノルウェー、英国、イタリアでも撮影が行われる予定だといいます。

本作の正式タイトルは未定ですが、公開は来年4月を予定。フクナガ監督は、「最高の007だと言われるものにし、ダニエルに有終の美を飾らせてから次のボンドにバトンタッチしたい」とコメントしており、どのような作品になるのか今から期待が高まっています。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)

6代目ジェームズ・ボンド役のダニエル・クレイグ
6代目ジェームズ・ボンド役のダニエル・クレイグ