1966年のル・マン24時間レースで、フォードのチームが、絶対王者フェラーリに挑んだ実話。チームをまとめる元レーサー、シェルビーをマット・デイモンが、異端児のレーサー、ケンをクリスチャン・ベイルが演じた。
モーターレースに関する知識レベルは、レースの名前くらいは知っているけどというくらいだが、レース描写はものすごく分かりやすかったし、ものすごく興奮した。
ル・マンに行く前の、デイトナ24時間レースの一連の場面から自分の心臓の音が聞こえるので、こんなにドキドキしてラストまで持つかな(自分の気持ちと作品の盛り上がりが)と思ったけど、ラストのラストまで存分に堪能した。高揚感と切なさで、虚脱しました。
この作品に奥行きがあるのは、レースに加え、やはり人間模様が丁寧に描かれているからだ。企業の幹部たちがメンツと個人的な思惑で、全力で圧力をかけてくるさまは、どの世界にも時代にも置き換えられそうだし、正論ぶち上げるだけじゃなく揺れる主人公2人にとても納得した。
デイモンとベイルの初共演も見もの。【小林千穂】
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