商売繁盛の神様「えべっさん」の総本社、西宮神社(兵庫県西宮市)で10日、参拝者が開門と同時に参拝一番乗りを目指し境内を疾走する恒例の伝統神事「福男選び」が実施されました。午前6時、太鼓の音を合図にスタート位置の「表大門」が開き、参拝者が駆け抜け、本殿へ先着した順に一番福、二番福、三番福が認定されます。本殿までの約230メートルは難所の連続です。転倒者が続出するのは、本殿直前にある直角カーブ「魔物の角(かど)」。今年は最大の難所で明暗が分かれました。

「一番福」になった同志社大4年、豊川哲平さん(23=京都市)はスタート直後に転倒し、左ヒザを負傷しましたが、すぐに立ち上がり、最初の難所とされる通称「てんびんカーブ」を通り抜け、脚力が試される約100メートルの直線「福男道」でごぼう抜きしました。 本殿目前の「魔物の角」では「これまでのニュース映像では、疲れてきた最後の坂でコケるのをよくみていた。足元をしっかりと見て走ろう」と決めていました。

本殿入り口までトップを走っていたびわこ成蹊スポーツ大4年、赤松大樹さん(22)は「魔物の角」の攻略に「とくにプランはなかった」と明かし、心理面で「コケないでおこうと思うたら、最後にコケてしまった。悔しいっすね」と苦笑い。

これまで「魔物の角」で数多くの転倒シーンの映像をみてきたという赤松さんは「自分はコケへんやろうと思っていた」と少し過信があったことを認め、本殿に突入する前に「1番で勝ったと思って、よっしゃ~って最後に叫んだらコケてしまった」。それでも最後は「ハイハイっす」と「一番福」こそ逃しましたが、後続が迫る中、執念で「三番福」になりました。

「二番福」の神戸国際大3年、澤井歩さん(21)は「魔物の角」に「少しコースの確認をしたけど、コケる気はしなかった。何も考えずに全力で走った」と自信を胸にゴールを目指しました。

コケて、笑って、悔しがって…。難コースを全力で駆け抜けた3人のえびす顔には、福来る。

【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)

本殿直前にある直角カーブ「魔物の角」で転倒した「三番福」の赤松大樹さん(中央)、「一番福」の豊川哲平さん(左)、「二番福」の澤井歩さん(右)(撮影・松浦隆司
本殿直前にある直角カーブ「魔物の角」で転倒した「三番福」の赤松大樹さん(中央)、「一番福」の豊川哲平さん(左)、「二番福」の澤井歩さん(右)(撮影・松浦隆司
左から「三番福」の赤松大樹さん、「一番福」の豊川哲平さん、「二番福」の澤井歩さん(撮影・松浦隆司)
左から「三番福」の赤松大樹さん、「一番福」の豊川哲平さん、「二番福」の澤井歩さん(撮影・松浦隆司)