こんな企画を待っていた。先日、発表された「関西みらい銀行presents MBSラジオ漫談王決定戦2026」である。

「漫談」という芸がメジャーでなくなって常々、残念に思っていた。漫談とは一人で時事ネタなどを材料に、しゃべり一本で勝負するもの。今、お笑い界最高の舞台とされるなんばグランド花月(NGK=大阪市)で漫談を聞けるのは、西川きよし、村上ショージぐらいしか見当たらない。いずれも大ベテランだが、彼らに続く後継者は?

同じ一人しゃべりの落語は、着物で座布団に座り、手にするのは手ぬぐいと扇子のみ。漫談はしゃべりのテーマが自由自在である半面、小道具などは使わない。自由でありながら、制限のある芸の世界。現在60代の記者(わたしです)が子どもの頃、滝あきら(村上ショージの師匠)の舞台を見たことがある。一見、サラリーマン風の衣装でマイクの前に立っていた。落語ではなく、モノマネ芸でもなかった。ただ、しゃべるだけだが、子どもにもおもしろかった。「素人名人会」の初代司会者・西条凡児、ラジオ界のレジェンド・浜村淳も漫談家の顔を持っていた。

ピン芸人という言葉がある。R-1グランプリを見れば一目瞭然だが、その多くがフリップや映像、音響などを駆使し、立体的でデジタルな見せ方をする。一人でトークやコントを展開するものの、漫談とは言いがたい。なぜなら、漫談はいかにもアナログで、近所のおっさんが好きなことをしゃべっているようなものだから。それで客を笑わせるのが前提だが。

映像もフリップも使わないから、今回はラジオが仕掛けたのかもしれない。「漫談王決定戦」の応募要項には「音だけでおもしろい話芸」とあり、優勝賞金30万円。参加資格は40歳以下とある。金額でいえば優勝1000万円のM-1グランプリなどには遠く及ばない。もちろん、テレビの生中継もない。

コンテストとしては、まだ未知数。どれだけのエントリーを集め、どれほど世間の注目を集めるかは分からない。それでも「しゃべり」で勝負する芸人に期待したい。

ピン芸人として実績のある真輝志、やました、くわがた心らが参加すれば盛り上がるだろうし、新たな世界を創る可能性もふくらむ。コンビを解散し、ピンになったしげ(元20世紀)は挑戦しないのだろうか。

落語家からのエントリーにも期待したい。桂あおば、桂三実ら気鋭の若手によるチャレンジを見たいものだ。

マイク1本、口ひとつ。決勝は9月19日、MBSちゃぷらステージで行われ、ラジオで生放送される。お笑い界の新しい風となってほしい。【三宅敏】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミへキタへ~」)