ディーン・フジオカ(36)が16日、生まれ故郷の福島県須賀川市文化センターで前日15日に続く2日間公演を成功させた。集まった1000人中、同県地元ファンが8割を占めた。「この日を心待ちにしてました。ただいま」とあいさつすると「お帰り!」と温かい声援を浴びた。

 同市内の病院で生まれ、その後、転居したが、中学生まで長期休みのたび祖父母に会うため里帰りした。「親戚と川に釣りに行き、山でスキーをした故郷のような場所です」。この日は市内の小中学生44人とコラボレーションを実現させた。「この経験がそれぞれ目指す道の助けになれば」と発案した企画で、東日本大震災発生時、レコーディングで滞在していたジャカルタから祖国への思いを込めて作った「Priceless」と、子供たちの明るい未来を願う新曲「DoReMi」を一緒に歌った。

 準備にも力を入れた。先月、市内の小学校を訪れ、コラボ企画に参加する児童と練習を積んだ。黒板に世界地図を書いてジャカルタの位置を教えたり、自分の仕事も丁寧に説明。「脱線も楽しい時間でした」。

 念願だった“凱旋(がいせん)公演”に「達成感と今後の活動の原動力をもらえました」。祖母も客席で見守る中、夢も膨らんだ。「自分の子供たちを連れてきたことがないので、祖母にひ孫の顔を見せてあげようかな」。歌手、そして父親として、故郷再訪を誓った。【近藤由美子】