第74回ベネチア映画祭(8月30日開幕)の事務局は27日、主要賞を競うコンペティション部門に是枝裕和監督(55)の新作「三度目の殺人」(9月9日公開)を選出したと発表した。

 是枝監督の同映画出品は劇場映画デビュー作「幻の光」以来22年ぶり。今回の選出について「映画監督のキャリアがスタートした場所なので、より感慨深いものがあります」と話している。

 同映画は、真実は二の次でいいとするエリート弁護士と、殺人罪で起訴された被告の心理サスペンス。主人公の弁護士を福山雅治(48)、被告を役所広司(61)が演じた。福山は13年にカンヌ映画祭のコンペティション部門に出品された是枝監督作品「そして父になる」で主演として同映画祭に参加したが、現地入りが実現すればベネチアは初参加となる。映画撮影中に「お声が掛かったらうれしいですよね」と是枝監督と話していたといい、この日は「現実になりました。おめでとうございます!」と同監督を祝福。「是枝監督、最新にして最深のテーマを扱った作品がベネチアでどう見られるのか。その瞬間に立ち会えることに期待と緊張が高まります」とコメントした。

 10年「十三人の刺客」以来2回目の参加となる役所は「是枝監督は日本映画の宝。この作品に参加できて幸せでした」と話す。被害者の娘を演じた広瀬すず(19)は是枝監督と15年「海街diary」でカンヌ映画祭に参加しているが、ベネチアについては「まだ知らない景色がいっぱい広がっているんだろうなあと思うとわくわくします」。

 公式上映日は未定で、是枝監督を始め、出演者はスケジュールを調整中。コンペ部門の審査委員長は米女優アネット・ベニング(59)で、授賞式は現地時間9月9日。